ペットロボットには長い歴史があるが、カナダのロボット玩具メーカー、WowWee(ワウウィー)が発売予定の「Meet CHiP」は、その歴史に名を連ねるユニークなペットロボットになりそうだ。
日本ではソフトバンクのもの作り支援プラットフォーム「+Style」(プラススタイル)のショッピングコーナーで販売しており、2016年9月末以降のお届け予定。価格は2万9800円(税込)で予約を受け付けている。今回、Meet CHiPの実機をじっくり触れる機会があったので、改めて紹介しよう。
CHiPは、とにかくよく動く。それがこの製品の大きな特徴の1つ。外見は、小さな犬型のロボットだが、脚の部分に特徴がある。脚の先端部に付いている車輪の周囲に、45度に傾けてセッティングされた9個のローラーが付いた「メカナムホイール」になっているのだ。面白いのは、このメカナムホイールの回転を制御することで、真横に動いたり、回転したりできること。前後左右に自在に動けるのだ。
WowWeeの岡村氏は「犬型のロボットというと、どうしても4足で歩かせたくなりがちですが、飼い主と遊ばせるなら、きびきび動く方がいい、と判断し、このメカナムホイールを採用しています」と、ホイールを備えるに至った理由を話してくれた。
確かに子犬のようなちょこまかした動きは子どもにも楽しいし、4足で慎重に歩くよりずっとペットっぽい。言葉で説明するより、動いているところを見てもらった方が分かりやすいだろう。
CHiPは各種センサーとマイクなどを備え、ユーザーがリモートで制御せずとも、ある程度自律的に動く。さまざまな「芸」をしたり、飼い主に付いてきたり、ボール遊びをしたりと、おもちゃにしては高機能だ。鼻先をなでてやると喜ぶ表情を見せる。
音声認識は「Hey, CHiP!」(ヘイ、チップ!)という言葉で待機状態になり、AppleのSiriのような感覚で話しかけると、それを解釈して対応する動作をする。国内発売時には日本語に対応予定で、「やあチップ」と話しかけるようにするという。その後、「お座り!」「伏せ!」「ヨガ!」など命令すると、その通りに動く。「ダンス!」もできる。製品は10個ほどの言葉に反応するとのこと。
また、製品には2本の「スマートバンド」が同梱されている。腕時計型のバンドで、これを腕に着けることで、CHiPに着けた人を「飼い主」と認識させることが可能。子どもが腕に着ければ、その子の言うことを聞いたり、付いてきたりしてくれるわけだ。スマートバンドには、円形のボタンが用意されていて、付いてこさせたり、直接CHiPを操作したりできる。バッテリーの低下などを知らせる通知機能もある。
青い光を発し、赤外線の発光ユニットなども備えた「スマートボール」は、CHiPと遊ぶためのボール。プラスチック製で、投げて遊ぶのではなく、転がして遊ぶもので、CHiPのモードを切り替えると、サッカーごっこをしたり、ボールを追いかけて戻って来させたり、といった遊びができる。
スマートバンドとスマートボールは、いずれも赤外線で通信をしており、障害物がなければ、高い精度で認識できるという。CHiPは室内犬だそうで、屋外での使用は推奨されていない。
ユニークなのは、褒められた行動などで学習をしていくこと。スマートバンドには「いいね」ボタンが用意されていて、行動を褒めることができる。CHiPは褒められた行動をなるべくするようになっていくので、それによって性格が変化するという。
バッテリー残量が少なくなってくると、自動的に「スマートベッド」に戻って充電を開始する。近くにスマートベッドがない場合は、Bluetoothリンクやアプリを経由してアラートを出して、充電を促す。
またCHiPにはスマートフォンアプリも用意されていて、スマートバンドより細かく、リモコンのように操作することも可能。スマートフォンとはBluetoothで通信する。赤外線とBluetoothで同時に命令をすると、Bluetoothが優先されるそうだ。アプリで起床時間を設定しておくと、目覚まし時計の代わりに、朝起きる時間にほえて起こしてくれる。
子どもに与えるにはやや高価なおもちゃだが、元気でかわいい子犬が家にやってくる感覚だ。ペットが欲しい、とねだられている家に1台いかがだろうか。
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