さまざまなスマート家電が登場した2016年を締めくくる今回は、フィリップスのスマートLED照明「Hue(ヒュー)」を紹介しよう。
Hueは2013年にフィリップスが発売した、いわゆるIoTデバイスだ。照明器具はヨーロッパを代表する総合家電メーカーであるフィリップスの創業事業の1つ。同社が世界最大のシェアを誇るという照明製品の中でもひときわ最先端をゆく、スマホで操作できるスマートLED照明だ。
欧米を除くアジア諸国では最も早く2013年に、日本でHueが発売された。RGB3色のLEDを搭載するオリジナルモデルのHueは、スマホを使って照明の色や明るさを細かくコントロールできる。その特徴がイノベーター層にウケてヒットした。最新モデルではさらに、アップルのスマートホーム向けプラットフォーム「HomeKit」に対応。iPhoneなどiOS機器のSiriによるボイスコントロールで、照明のオン/オフ、色合いなどがコントロールできる機能が加わった。
今年の9月には、よりインテリア性を高めたバッテリー内蔵のポータブル照明「Hue Go」や、明るさとインストールの自由度を高めた「Hueライトリボンプラス」を発売。スタイリッシュな照明器具として女性層の注目も惹きつけている。また年末には白色LEDに特化した新製品「Hueホワイトグラデーション」が登場。新たに「サーカディアンリズム(いわゆる体内時計)」と連動しながら、照明で生活リズムを整えるという新しいライフスタイルを提案する。
日本国内でも少しずつスマート家電が浸透してきたようだが、その便利さや必要性がいまだにハッキリと分からないという声もよく聞こえてくる。その点、フィリップスのHueシリーズは国内で成功しているスマート家電といえるのではないだろうか。その理由は明らかで、使ってみると“便利さと生活が豊かになる実感が得られるから”にほかならない。価格も手ごろで、設置も簡単だ。早速その実力に体当たりしてみたいと思う。
今回は12月に発売されたばかりの新製品、「Hueホワイトグラデーション」のスターターセットを借りてみた。ほかのHueシリーズと使い勝手なども比べてみたかったので、ポータブルタイプの「Hue Go」と、必要な長さにハサミなどでカットして使えるという画期的なリボン型照明「Hueライトリボンプラス」もそろえて、わが家の環境にセットした。
なおHueホワイトグラデーションのスターターキットには2本のLEDランプのほか、ランプとスマホアプリの間に置いてコントロール信号を橋渡しする「ブリッジ」、新しい物理リモコン「Dimmerスイッチ」が同梱(どうこん)されている。実売価格は1万4800円前後だ。
スマホアプリはiOSとAndroidの両方に対応しているが、今回はSiriによるコントロール機能を試そうと思うので、iPhone 7をメインに使っている。
まずは宅内の無線LANルータにHueシリーズの心臓部であるブリッジをLANケーブルでつなぐ。Hueアプリを起動して、ブリッジの天面真ん中にあるプッシュリンクボタンを押すとブリッジが認識され、いとも簡単に接続できた。
LEDランプはE26の口金にねじ込んで装着する。E26といえば最も一般的に普及している口金なのだが、筆者自宅のLEDランプは大半がGX10qという別規格の口金だった。変換アダプターをかませば取り付けられるのだが、傘の中に横向きにランプを取り付けるタイプだったので、Hueのランプの全身が入りきらず断念。かろうじて玄関と寝室に取り付けてあるランプシェードがE26のものだったので、それぞれにHueのランプを装着することができた。このほかに仕事場であるダイニングにHue Goを置いて、基本的なシステムを構成した。
ブリッジをホームネットワークにつないで、ランプを通電させた後は、Hueアプリから1つずつ「ランプの追加」を選んで登録する。「玄関のHue」「台所右側のHue」など、分かりやすい名前を個別に設定できる。続いて「ルームのセットアップ」に進んで、寝室やダイニングなど部屋の単位でランプをコントロールできるように環境を整えていく。部屋単位での調光はアプリのメイン画面の下側にあるタブを「ルーム」に切り替えて設定する。
なおHueの通信の仕組みを確認しておくと、スマホとブリッジの間はWi-Fi接続になるが、ブリッジとランプの間は「Zigbee Light Link」と呼ばれる照明器具専用のワイヤレス規格で接続される。見通し通信距離はだいたい12m前後ということも目安として覚えておきたい。
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