オンキヨーとパイオニアが、それぞれのブランドから同時にエントリー向けのハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤー(以下、DAP)を発表した。オンキヨーのプレーヤーは“Rubato”(ルバート)「DP-S1」。イタリア語で「自由なテンポで」という意味を成す音楽用語だ。パイオニア機は“Private”(プライベート)「XDP-30R」。往年の人気システムコンポのシリーズ名を継承しているが、直接のつながりは意識していないそうだ。
どちらの製品も大人が片手に握って、親指だけで手軽に操作できるコンパクトサイズを実現した点が大きな特徴になる。それぞれのブランドからはハイレゾDAP「DP-X1A」「XDP-300R」という人気のモデルが発売されている。またオンキヨーからは最強のハイレゾスマホ“GRANBEAT”(グランビート)「DP-CMX1」も登場したばかりだ。これまでの製品開発から得たノウハウがどのような形で受け継がれて、新しい製品の誕生へとつながれていったのか。新製品の開発に関わったキーマンにインタビューした。
今回の取材に応えていただいたのは、商品企画を担当したオンキヨー&パイオニアイノベーションズ ネットワークサービス事業本部 DAP商品企画部 DAP商品企画課の佐野恭平氏、同社のプロダクトデザイナーであるデザインセンター デザイン1課 アドバンスドデザイナーの船山達史氏、ならびに音づくりに携わったオンキヨー&パイオニアテクノロジー オーディオ技術部 開発技術グループ 技術1課 主幹技師の浅原宏之氏だ。
2つの新製品の価格はともにオープンだが、DP-S1が4万4800円前後、XDP-30Rが3万9800円前後で販売される見込みだ。ともに“アンダー5万円”の価格設定となるが、そこはまさしく同価格帯の国内・海外のハイレゾDAPが群雄割拠する合戦場だ。同社では新製品のどこに勝算をみているのだろうか。佐野氏にうかがった。
「デュアルDAC/アンプ構成のバランス出力回路を搭載したことで、音質面では特に大きな差が付けられると考えています。オーディオクロックも44.1kHzと48kHzを2系統別に搭載しているので、CD音源のネイティブ再生などにも効いてきます」。つまりハードウェアの基礎体力が突き抜けているのだと佐野氏が主張する。
機能面ではともにWi-Fi接続ができ、プリインストールされているTuneInやRadiko.jpよるインターネットのストリーミング再生が楽しめる。ホームネットワーク内にあるNASに接続してDLNA再生を行ったり、他の音楽配信サービスの追加対応については「発売後ユーザーからの要望をうかがって対応を検討していきたい」と佐野氏が答えているので、そのぶんパフォーマンスに余力を残しているとも取れる。ちなみに直近のアップデートのネタとしてはMQA再生(ダウンロード音源)と、e-onkyo musicからの音源ダウンロード機能の追加が夏頃に予定されている。
それぞれのモデルの“音づくり”のイメージは浅原氏に聞いた。DP-S1については「DP-X1Aと同じく、解像感やS/Nと透明感の向上を目指しながら、同時に低音再生の豊かさを追求した」という。特にDP-S1の方が電源まわりを強化。基板の回路レイアウトについてもノイズへのケアを徹底して行うことで、ベスト・イン・クラスの高音質を狙っている。「リズムの低音の沈み込みや量感だけなく、ボーカルや生楽器の低域が心地よく沈み込むような伸びやかな質感を追求しました。DP-S1はDP-X1系統のイメージを期待して手に取る方が多いプレーヤーだと考えています。そのご期待を裏切らないように高級なヘッドフォンやイヤフォンで音を聴いた時のS/N感、解像感をしっかり出すところにもまず注力しました。一方でDP-S1、XDP-30RともにハイレゾDAPの入門層の方々が手に取ることも想定していますので、低価格帯のヘッドフォン/イヤフォンと組み合わせた場合もしっかり鳴らせるようにチューニングしています」(浅野氏)
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