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背景がきれいにぼけたポートレートを撮りたい! カメラ初心者に贈る超入門(2/3 ページ)

» 2017年05月05日 06時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

その3:絞り値を意識すべし

 とりあえず「背景がボケたかっこいいポートレートを撮るぞ」がテーマなので(たぶん)、どうすれば背景がボケるかという話を。

 さっき、望遠にすればするほどボケるって話をした。

 さらにカメラと被写体が近い&被写体と背景の距離が離れているほどボケる、と「絞り」を開けば開くほどぼける、の2点が重要だ。

 まず背景が大きくぼけた写真を撮りたいときは、背景の建物や森や人々やそのたもろもろは遠くにいてくれたほうがいいということ。後ろが広くヌケてる場所で撮れ、と。

 続いて、できるだけ「絞りを大きく開ける」レンズで絞りを大きく開いて使え、である。

 絞りはレンズに入る光の量を調節する機構。

 1.0→1.4→2.0→2.8→4.0→5.6→8.0と数字がデカくなるほど「光を通す穴」が小さくなってボケも小さくなる。

 この値をF2.8とかf/2.8と書く。2種類の書き方があるけど意味は同じ。f/2.8とあるのは「1/2.8」ということ。逆数になってるから、数字が増えているように見えて、実は穴は小さくなっているのだ。

 この数字、穴の大きさと思えばいい。絞りは円形で、数値は円の半径。円の面積は半径の二乗で増えていくので、面積を二倍にするには半径を√2倍にしてやる。√2は約1.414である。だからF1.0の次は1.4なのだ。絞るってことは円の面積を小さくすることなので、面積を半分にするには半径は「1/√2」=「1/1.4142……」=「f/1.4」となる。

 一見、数字の増え方がややこしいんだけどそういう意味があったのである。

 で、実際に絞り値を変えながら撮るとどうなるか。

 マイクロフォーサーズのカメラに45mm F1.8のレンズをつけて撮影してみた。

F2.0
F2.8。ハイエンドのズームレンズがだいたいこのくらい
F4.0
F5.6。エントリー向けカメラに付属するキットレンズがだいたいこのくらい
F8.0

 ずいぶん違うのが分かるかと思う。

 背景がめちゃボケたポートレートを撮りたい、となると不満が出てくる。よし、背景がきれいにボケるレンズを追加で買おう。

 そうしてレンズ沼へとはまっていくのだ。

その4:困ったら中望遠の単焦点レンズ

 そんなわけで、買うのなら中望遠の単焦点レンズである。

 レンズにはそのレンズの「開放絞り値」が書いてある。ズームレンズだと望遠側の開放絞り値がF5.6とかちょっといいレンズでF4.0。

 対して単焦点レンズはF1.4とかF1.8である。こういうのはたくさん光を通すので「明るいレンズ」という。

 中望遠の明るいレンズを1本買うのだ。

 35mmフルサイズセンサーのカメラなら、焦点距離が70〜150mmくらいがお勧め。コストパフォーマンス的には「85mm F1.8」がいい。すごくきれいに大きくぼけてくれる。

 APS-Cサイズのカメラだと35mmフルサイズに比べて画角が狭くなるので、焦点距離的には45〜85mmくらい。50mmF1.8なら安くてコンパクトなのでいい。

 マイクロフォーサーズだと35mmフルサイズセンサーの半分と思えばいいので、85mmF1.8に相当する42.5〜45mm F1.8くらいがいい。この辺なら安くてよい。

 ただ、背景のボケは「焦点距離」と「絞り」の関係で決まるので、同じ画角(つまり写る範囲。平たくいえば望遠具合?)でも、マイクロフォーサーズの45mmより35mmフルサイズの85mmの方がはるかに大きい。

 ちなみにマイクロフォーサーズ機(今わたしはマイクロフォーサーズをメインに使っているもので)で、45mm F1.8で撮った写真と、75mmF1.8で撮った写真をどうぞ。こんな感じだ。

45mmF1.8で撮影
75mm F1.8で撮影

 なお、背景が大きくボケるってどういうことかというと「ピントの合う範囲がすごく狭い」ということ。だからフォーカスがシビア。

 鼻の頭にピントがあって目にあってないとかそんなことになるので、明るい単焦点レンズでボケを楽しむなら「手前側の目」にピントを合わせること。カメラが「瞳検出」機能なんて便利なものを持っていたら使うべし。上の45mm F1.8で撮った冬っぽい写真もよくみると手前の目にピントがあってるのである。

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