ソニーモバイルコミュニケーションズが、独自のAI(人工知能)技術を活用した健康管理のためのプラットフォーム「Fit with AI Trainer」(FAIT:ファイト)を正式にローンチした。9月末から法人向けのパーソナルヘルスケアサービスとして提供を開始している。今回は同社を訪問し、プロジェクトのキーマンに説明を聞きながら新サービスを体験した。
FAITの概要を説明していただいたのは、ソニーモバイルコミュニケーションズの廣部圭祐氏だ。
「FAIT」が目指すのは「AIを使ったパーソナルトレーナー」である。「Live longer, Live Happier(幸せに長生きしよう)というサービスのコンセプトを、IoTで実現することがテーマ」と廣部氏が語る。
日本国内ではスマートウォッチやアクティビティトラッカーに代表されるヘルスケアのためのスマートデバイスが欧米の先進国ほどには流行っていないといわれている。ソニーモバイルでは国内のヘルスケアデバイス需要を、新しい視点から開拓するためにFAITを独自に開発した。FAITに対応するデバイスとプラットフォームを作り込み、法人のパートナーがエンドユーザーに提供するサービスをカスタマイズできる形で提供する。
「個人向けのヘルスケアデバイスは、健康測定やトレーニングを続けるためのモチベーションを上げるところに課題があった」と廣部氏は指摘する。そのためFAITでは、ユーザーに「効率良く」「続けて実践できる」トレーニングメニューを提供するための仕組みを導入した。ユーザーが身に着けたデバイスが内蔵するセンサーから取得したデータをクラウドの専用サーバに集め、ディープラーニング(深層学習)による学習機能を持つAIで解析。個人のユーザーに最適化された“続けられる”トレーニングメニューを提供するという一連のプラットフォームサービスがFAITの特徴だ。
ユーザーが健康維持・増進のためのアクティビティーを継続して実践しやすい環境として、介護施設やスポーツセンターなどの“集団”が適切であるとソニーモバイルの開発陣は着目した。2016年から、ソニー・ライフケアグループのライフケアデザインが運営する介護付き有料老人ホームなど、複数の施設でサービスの実証実験を行い、ユーザーの声を集めてきた。その成果を土台にして、法人向けのサービスを本格的に提供することになった。パートナーシップは介護施設やスポーツクラブ、住宅産業など各分野にまたがっている。
FAITとして導入される健康管理プラットフォームは、ソニー独自のディープラーニングの開発環境である「Neural Network Libraries」のコアライブラリをベースにしている。対応デバイスのセンサーから送られた情報は、専用サーバのクラウドデータに集められ、独自のディープラーニングエンジンによって高速かつ正確に処理される。ソニーでは既に「Neural Network Libraries」のコアライブラリをオープンソース化し、GUIで操作するためのコンソールソフトウェアも今夏から提供を始めた。ディープラーニングに関連する開発の活性化にも力を入れている。
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