ドイツの高級家電メーカー、Braun Household(ブラウン)から登場した「マルチクイック9 ハンドブレンダー」(以下、MQ9)。グリップを握る力で回転速度が変わる「スマートスピードテクノロジー」や、シャフトが上下に伸縮して刃の回転する範囲を拡大する「アクティブブレードテクノロジー」を搭載したパワフルなハンドブレンダーだ。そして”くびれ“を持つ独特のデザインも特徴。来日したブラウンのヘッド・オブ・デザイン(デザイン責任者)、デュイ・フォン・ヴー氏にMQ9に対するこだわりを聞いた。
――2年前、ドイツの「ブラウンミュージアム」でインタビューした際、新しい世代のために新デザイン言語「ストレングス・オブ・ピュアの10のデザインの原則」を作ったと伺いました。それは現在も変わりませんか?
フォン氏::長きに渡りブラウンのヘッド・オブ・デザインを務めたディーター・ラムスは、「より少ない方がいい、Less is Better」と言い、長らくグッドデザインの原則とされてきました。それが「グッドデザインの10の原則」です。しかし、今の時代のオペレーションとはズレが生じていたので、後を継いだわれわれは、あえて変えることにしました。それが新しいデザイン言語「ストレングス・オブ・ピュアの10のデザインの原則」。これに関しては今もなお変わっていません。
――新製品の発表会ではスライドで1950年代からさまざまなブラウン製品を紹介しました。それはなぜですか?
フォン氏: 未来に向けて視線を向けるとき、大切なことは今の自分たちに常に質問を投げかけることです。何かを変えようとするときは、どのように変えたらいいかという質問、自己への問いかけが必ず必要になります。エコシステムは従来型ですが、そこにデジタル化が進む現在、プロダクトを産み出すためには問いかけをしっかり考えて、それに対して回答を出していくことが重要です。未来を定義するためには過去から繋がっている部分をしっかりと考えることが大事です。
――つまり、ハンドブレンダーが過去から継承され、未来に向けたプロダクトだということを強調したかったのでしょうか?
フォン氏: その通りです。ハンドブレンダーは1966年に初代モデルが登場して以来、見た目や細かな機能の進化はしているものの、構造やユーザーを意識したデザイン(ユーザーインタフェース)という意味では大きく変わっていません。ただ、当時はハンドブレンダー自体が珍しかったため、技術面のイノベーションは今よりも著しいものがありました。なぜハンドブレンダーが作られたのか? という理由が今よりもはっきりしていたように思えます。今回私たちがそうした過去の事象をみて、“より良くできる部分”を探したことを強調したかったのです。過去を見ながらも未来へ打ち出したデザインであるという意味で、当然レトロデザインとかそういう意味ではありません。
――確かにMQ9には未来感があります。近年は「黒×シルバー」という配色にこだわっているように思えますが、理由を教えてください
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