フォン氏: 黒はテクノロジーを示し、シルバーは清潔感、衛生的なイメージ、精密なイメージを表現しています。色以外に材質もマテリアルもそういったイメージを表現するには大切な要素で、製品に触れた時、『価値あるものだ』と分かるようなイメージです。
――アクセントカラーのグリーンは?
フォン氏: グリーンはパッと目を引き、清潔感を感じさせる色です。シェーバーにはブルー、脱毛器などの女性用のアイテムにはピンク、調理機器ではグリーンがアクセントカラーだと、ハウスホールド内で定義しています。
――「ブラウンの家電は英国執事であれ」ということをいつも言われてますが、今回もそのあたりは意識してデザインされましたか?
フォン氏: 英国執事のように前に出てこない、常に中立でニュートラル。必要な時に機能してくれるものとして存在するようにデザインしてます。家電は使ってない時には、背景に馴染んでいてほしいものです。さらに寿命の短いものであってほしくない。調理家電は目立ってアピールするようなものではなくて良いのです。
――2年前のインタビューで“ブラウンニアーナ(より良いプロダクトを作るためにマニアックなことでも常々やること、もしくはそうする人)”という言葉あると話していましたが、今回のMQ9にもブラウンニアーナな部分はありますか?
フォン氏: 前モデルから搭載されている「スマートスピードテクノロジー」は一番のブラウンニアーナな部分ですが、今回は特に紹介したいのがパワーベル部分。食材を巻き込み、カッターで砕く部分は「ベル型シャフト」と呼ばれる独自の形状を採用したことです。さらに食材をより効率的かつ均一に砕くため、MQ9ではカッターの一部に「ミルブレード」を設けました。
――ミルブレードで何が変わるのでしょう
フォン氏: ハンドブレンダーは構造上、刃の中心部に食材が溜まりがちで、一度食材が入ってしまうとなかなか動きがなくなってしまい、それらが固形として残ってしまいがちです。ところが、ミルブレードを付けたことで、そういった中心部に入り込んだ食材もしっかりと切れるようになりました。それに伴い、パワーベルの開口部を高くする必要がありました。このため、パワーベル自体のデザインも見直しています。より撹拌(かくはん)する力を高め、食材の流動を促し、均一につぶし混ぜられるようにするためには、周囲のすき間の部分の切り込み形状まで変える必要がありました。
――パッと見、前モデルと変わったようには見えませんが、カッターの性能が大幅にアップしたんですね
フォン氏: はい。それにより新製品はアボガドの種など、これまでよりもより固い食材まで砕けるようにもなりました。そのため、カッターの素材自体もより耐久性の高い素材に実は変えています。
――最も大きく変わったのは、伸縮するシャフトですよね
フォン氏: そうですね。アクティブブレードテクノロジーは非常に革新的です。上部に溜まりやすい食材をしっかりと巻き込むことができるので、撹拌する範囲が従来機の2.5倍にまで拡大できました。食材全体をより細かく滑らかに仕上げることができます。
――しかし、そのためにデザインの視点は少し複雑なシルエットになりました。くびれがない形でアクティブブレードテクノロジーを採用することはできなかったのでしょうか?
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