星野 すみません。ちょっとおしゃべりが過ぎました。もうこんな時間ですから、中村さんにまとめていただきましょう。
またしても急に話を振られた誠だったが、今度は何とか受け止めることができた。
誠 えーそれでは、本日のキックオフミーティングは終了します。次回会合日時はメールでご連絡しますが、実質的な討議を始めたいので皆さんの持っている情報を持ち寄ってもらいます。よろしくお願いします。最後に小石川社長、星野さん、ご出席ありがとうございました。
星野 初会合、お疲れ様でした。
誠 あ、星野さん!
バラバラとメンバーが散会する中、誠は急いで、小石川について退席しようとする星野を呼び止めた。
誠 あのう、無理を承知でお願いしたいんですけど、これからもアドバイスをいただけないでしょうか? 僕、正直言ってリーダー経験不足で不安なんです。
東山 できたら、私からもお願いします。彼のためにもそうした方がいいと思います。
星野 そうですね。どうしましょうか、小石川社長?
小石川 中村君、今日どうして私が星野先生と出席したのか、分かってもらえたみたいだね。さっきも言ったとおり、このプロジェクトはぜひとも成功させたい。東山君から君の熱心さも聞いたし、会社としてできるサポートはしていきたいのでね。星野先生、このプロジェクトも面倒をみていただけますかな。
星野 承知しました。私たちの使命は「自ら助くるものを助く」ですから。中村さん、大変かもしれませんけど、一緒に成果を出しましょう!
誠 はい、がんばります、師匠!
いくらなんでも「師匠」とは、自分でも思いがけない呼び方を口にしてしまった誠だった。(第4話に続く)
ジェネックスパートナーズ取締役会長。ゼネラル・エレクトリック(GE)で、シックスシグマによる全社業務改革運動に、改革リーダーのブラックベルト(専従リーダー)として参加後、経営コンサルタントに転身。
2002年11月、お客様とともに考え、ともに行動するパートナーとしての視点から、お客様の成果実現のために企業変革を支援し、事業価値向上に貢献するプロフェッショナルファーム「ジェネックスパートナーズ」を設立。日本企業再生を目指して、企業変革活動の支援を推進している。著書に『図解コレならわかるシックスシグマ』、『これまでのシックスシグマは忘れなさい』などがあり、中国、韓国、台湾等でも翻訳出版されている。
「誠」世代が“自立する=自ら考え正しく行動できる”ことが、今後の日本経済を支えるといっても過言ではありません。社会に出たビジネスパーソンとして自立するためのきっかけは誰にでも必ずありますから、そのチャンスに果敢にチャレンジしてほしいと思います。
しかしその際、気合と根性だけでは徒手空拳も同然。本連載でご紹介するようなビジネスリーダーとしての心構えと基本動作を身に付けておいたほうが無難でしょう。これらは難しく考えるのではなく、実際に試してみることが大切です。
本連載の主人公・誠は、おっちょこちょいではありますが、好奇心と向上心を持ち合わせたがんばり屋です。誠のように『天は自ら助くるものを助く』の精神でプラス思考で臨んだリーダーこそが、最後にはきっと生き残るのです。
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