遅延情報をリアルタイムに配信する仕組みは、東京メトロの「総合指令所」と日立が運営するMediaSpaceのサーバの連携によるものだ。遅延が起こった場合、総合指令所内にある専用のWeb画面から必要事項を手動で入力する。
Web画面では、遅延情報などをプルダウン形式で入力できるようになっている。遅延の原因は火災や人身事故、車両の点検だけでなく想定できない事項もあるため、手入力で行う。この工程を専任の担当者が1人で管理しているという。
入力情報を受け取ったMediaSpaceが、遅延情報をディスプレイやホームページ、改札付近にあるLEDの電光掲示板に自動的に反映させる。「特別な技術を必要とせず、簡単な操作で東京メトロの全駅全路線に遅延情報を配信できる」(佐藤氏)点が強みだ。
デジタルサイネージを広告メディアと見立てて、そこに表示する広告を募って収益を得るというビジネスモデルを展開する企業もある。だが東京メトロではそうした考えは今のところない。
「緊急時には路線図がリアルタイムに表示されるため広告の表示時間を決められない。また運行情報ディスプレイの設置場所や性質上、立ち止まって見るものでもない。ユーザーには、広告を見てもらうよりも切符を買う前に別に次のリアクションを取ってほしい。広告収益は特に考えていない」(佐藤氏)
東京メトロでは、運行情報ディスプレイの設置駅を拡大する見通しだ。2009年以降の稼働を予定している池袋駅のほか、私鉄での稼働も視野に入れている。視認性を高めるために音を出したり、コンテンツそのものを新しく作り直したりすることも検討している。遅延情報を迅速かつ正確に伝え、ユーザーのイライラを解消し、顧客満足度の向上につなげる考えだ。
【修正履歴】「画面に中央に」を「画面中央に」に修正しました。(2010年12月14日)
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