東大生のボクが、あの会社に注目した理由東大生の“投資脳”に迫る(4/4 ページ)

» 2008年12月25日 11時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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 こうして村上君は7月26日に開かれた勉強会の席で、鳥越製粉を「買い」推奨銘柄に選んだ。そして7月後半には大手製粉会社が第1四半期の業績を発表し、軒並み増益。鳥越製粉も8月7日に決算発表があり、「新製品の開発や製品価格の改定、経費削減などに取り組んだ」(鳥越製粉)ことにより、増収増益という内容だった。

 鳥越製粉の株価は7月25日の終値で797円、これに対し村上君は目標株価835円と設定。そして、約1カ月後の8月26日に株価は835円に達した。「実際に投資した金額はわずかなので、もうけは高校生のお小遣いほど」と控えめだが、情報をステレオタイプにうのみにするのではなく、小麦の価格上昇という環境に対し、どういった企業努力をしているのか。こういった点に着目し、分析したことはAgentsの特徴を生かした形だ。

実は予想は外れる方が面白い

東大生が書いたやさしい株の教科書』(インデックス・コミュニケーションズ)

 最後に「自分の予想が当たったことはうれしいか?」と聞いたところ、意外な言葉がメンバーから聞かれた。「実は予想は外れる方が面白いんですよ」(森田君)と。そして、ほかのメンバーたちも「僕もそうですね」と口をそろえた。

 予想は外れる方が、面白い? どういう意味かと尋ねると「株式市場の世界は、みんなと同じことを考えていてはチャンスがないんですよ。まだまだ自分たちが予想できることは、ほかの投資家も同じことを考えている可能性が高い。誰も思いつかない発想で、銘柄を分析することが楽しいんです」(森田君)と語った。

 彼らの言葉を聞いて、「謙虚」だと感じる人もいるかもしれない。しかし記者は20歳前後の学生がここまで考えることに対して、「不敵」と感じたのだった。

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