「ここ数年で強く認識されるようになってきたのは、環境政策が持続可能な経済発展の基礎であり、21世紀の投資・仕事・繁栄を築くための挑戦であるということです」
これはドイツ環境省次官アストリット・クルーク氏の言葉だ。事実、ドイツが率先して取り組んでいるエコロジカルな産業政策、気候保護のためのエネルギー政策、あるいは自然保護は結果的にドイツに技術革新・経済成長・雇用拡大をもたらしている。これまで経済発展の足かせとされてきたこれらの事柄を自らに課し、世界に先んじてクリアすることにより、世界市場で主導権を握ることを可能にしたのだ。
特に再生可能エネルギー関連の就業者数の伸びは高い。2007年現在、およそ24万9000人がこの部門で働いている。「すでに180万人が環境産業に従事しています。『2020年までにCO2の排出量を40%削減する』という厳しい義務が、逆に50万人分の新たな仕事を生むことになります」(クルーク次官)。環境政策で逆境をチャンスに変えるのもまた環境大国の持つ能力であろう。
環境保護が雇用を生む。このことにいち早く気付いた先見性と、政策として実現してきた実行力がドイツの底力である。
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