なぜ酔いたいのかといえば、そこには2つの背景があると思う。1つには現状に対する何となくではあるが重く垂れ込めた閉塞感由縁である。もう1つには、残業がなくなり夜の時間にゆとりができたゆえに、少しばかりお酒をたくさん飲んでも大丈夫になったという状況の変化だ。
そこでハイボールは「もう少し酔いたい、でも安く、オシャレに」ニーズを見事にキャッチしたのだと思う。そして、ここがサントリーの見事なところなのだが「ハイボールはおいしくておしゃれで癒やされる」感が、あのCMによって広まった。
これにより、これまでハイボールなんて飲んだこともなかった若い人たちが「これ、意外にいけるじゃん」となり、以前ハイボールを愛飲していた人たちは「そうそう、ハイボールってあったよな」と懐かしさにほだされて飲むようになった。これがハイボールヒットの理由だと思うのだが、みなさんはどう思われるのだろうか。何か意見があれば、ぜひお聞かせいただきたい。
景気が悪くなると、強い酒が好まれる。これはおそらく、歴史の真実だと思う。だからハイボールが売れたのは、実は「歴史は繰り返す」セオリーの証ともいえるのかもしれない。
であるならば、日本酒はどうなんだろうか? もうダメなんだろうか、というのが筆者の次なる問題意識だ。
日本酒復権もサントリーの巧みなマーケティング戦略にならうことで、十分にありうるとは思う。ただし、残念ながら日本酒メーカーにはサントリーのような資本力を持つ企業が存在しない。であるなら日本酒の協会がスクラムを組んで何らかのキャンペーンを張れば復権もありうると思うのだが、いかがだろう。(竹林篤実)
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