市場データもこれからのiPhone/iPad向けデジタルカタログアプリの可能性を示唆している。ビルコムが行ったiPad所有者を対象とした、第2回「iPad 利用実態」に関する調査によると、
「iPadアプリを通して商品を購入または予約したことがあるのは44.4%」
「iPadアプリを通じて商品を購入または予約する意向があるのは60.6%」
という結果を示し、また、「iPadアプリを通じて、有料の商品を購入または予約した理由は何ですか?」という質問で「iPadの操作性がいいから」と答えた人は54.1%、「iPadアプリの画面サイズで、商品が細部までしっかりと見えるから」と答えた人は41.0%、「iPadの画像が美しく、商品がキレイに見えるから」と答えた人は40.4%だったという。
とはいえ、まだまだ課題も多い。App Store内にある千趣会のアプリのレビューを見る限り、今のところアプリとしての評価はあまり高くはない。本来ならばiPad/iPhoneの優位点となるべき「サクサク感」が、逆に「重い」「遅い」といった評価が大半を占めており、技術的な問題は改善されていくであろうにしても、この第一印象はあまりに悪い。
カウネットにしても、10月上旬からのスタートにもかかわらず、カタログは8月16日発刊のものという焼き直し感満載の印象がぬぐえない。メディア(デバイス)が変わる時に起こるありがちなこととはいえ、トレンドリーダーであるべきiPhone/iPad向けのアプリが、紙に対して操作性もスピードもかなわないのではどうにもならない。
ドミノピザはGPS機能という紙には及びもしない技術によって、独自のマーケットを開拓したが、iPhone/iPad向けデジタルカタログアプリケーションが単なる紙カタログの焼き直しでは、せっかくの「革命的で魔法のようなデバイス」(アップルより)が生きてこない。
Webメディアがそのまま移行するだけでは意味がないが、これまでどうしてもWebで表現しにくかった商品やサービス、GPSや携帯性などデバイスの持つ優位性を生かしたプレゼンテーションを行うことによって、ネット通販の新たなデバイスとなる可能性も高い。海外ではすでにGILTなど、iPadの機能をふんだんに生かした表現を行っているところもある。
今後動画や音声を含め、クオリティの高い通販メディアアプリが登場することで、新たな市場の活性化のきっかけになってほしいものだ。(猪口真)
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