トルコ航空で“空のシルクロード”を行く秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)

» 2011年01月19日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]
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欧州各都市へのネットワークも充実

 日本(成田・関西)からイスタンブールまでは、前述したように12時間におよぶロングフライトだ。そこから先の旅については、心の向くまま自由に計画してみてほしい。トルコは国土が日本の2倍あり、さまざまな観光地が点在している。トルコ国内を効率よく旅するには飛行機に頼らざるをえないが、トルコ航空はもともと国内線からスタートしているので国内線ネットワークも充実している。

飛行機と空と旅 イスタンブール旧市街にある歴史的建造物「ブルーモスク」も世界遺産に指定されている

 「でもせっかく行くのなら、目的地は1カ所か2カ所に決めたほうがいいと思います」とアドバイスするのは、トルコ航空日本支社長のトゥーバ・トプタン・ヤブズさんだ。「国土がとにかく広いので、1回の旅行で全部を見て回るとなると、移動だけに多くの時間をとられてしまう。それではもったいないですよ。せっかく12時間もかけて行くなら、目的地を絞って、その街を100%満喫し切って帰ってきてほしい。ほかに興味のある街があれば、また次に行けばいいんですから」

 同感だ。私の場合は、イスタンブール1都市だけを目的に旅に出ることが多い。ヨーロッパ側とアジア側に分かれ、“東西文化の交差点”として栄えてきたこの街は、隅々まで歩くのに何日もかかる。歴史ある世界遺産を訪ね、人恋しくなればメイン通りから一歩外れて路地裏へ。そこには居酒屋風のバーが軒を連ね、道路にまでテーブルを広げている。数え切れないほど店があるのに、週末などは空席を探すのにひと苦労だ。ようやく席にありつき、「ラク」とよばれるトルコの蒸留酒をなめながらトルコ料理をつついていると、あちこちから声がかかる。日本人ですよね? 東京から? イスタンブールは好きですか? 親日家として知られるトルコの人たちは、相手が日本人と見ると黙っていられない。

飛行機と空と旅 新市街のイスティクラル通りから一歩路地を折れると、居酒屋風の庶民的なバーが軒を連ねる

 もちろん、ここからヨーロッパ方面へ足を伸ばすのもいいだろう。トルコ航空はイスタンブールを拠点に、欧州71都市を含む世界160以上の都市へ翼を広げている。2011年も新たに11の都市がネットワークに加わる予定だ。フランスのパリへ飛ぶ路線なども人気で、イスタンブールとパリという2つの歴史ある都市を一度に楽しんでしまう贅沢な旅も捨てがたい。繰り返すが、イスタンブールから先は自由に、思いのままに旅のプランを組んでみてほしい。日本を飛び立ち、プロのシェフによる本格的な料理でもてなされながら、ユーラシア大陸の上空をひたすら西へ西へ──私がトルコ航空の旅を勧める一番の理由は、この“空のシルクロード”を行くこと自体にあるのだから。

著者プロフィール:秋本俊二

著者近影 著者近影(米国シアトル・ボーイング社にて)

 作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。

 著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

 Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。


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