さて、気になるのは787の初就航がどの路線になるかだ。これについては、ANAの伊東社長からこう発表された。
「787の最初の定期便は、羽田から岡山および羽田から広島を結ぶ路線で就航する予定です。どちらが787のデビューとなるかはまだ未定ですが、1日にその2つの路線を飛ばすことでほぼ決定しました。そして2011年内には、国際線での運航もスタートしたい。ヨーロッパかアメリカの東海岸に就航する計画で準備を進めています」
787は燃費効率を高めると同時に、1万5000キロ前後という大型機並みの航続距離を実現した。これまで大型機に見合う需要がなければ就航できなかった長距離路線にも飛ばすことが可能で、伊東社長も「ANAのビジネスチャンスを大きく拡大してくれる機材になる」と期待。初号機と2号機には就航を記念して特別塗装を施すことも発表されている。
7月3日に飛来した787は、7月5日の早朝にまずは羽田から大阪・伊丹に向けて飛び立った。これから以下のスケジュールで、検証プログラムが実施されていく。
日付 | フライト |
---|---|
7月5日(火) | 羽田(06:25発)/伊丹(07:30着) |
伊丹(11:30発)/羽田(12:30着) | |
7月6日(水) | 羽田(06:25発)/関空(08:00着) |
関空(12:00発)/羽田(13:20着) | |
7月7日(木) | 羽田(06:00発)/岡山(07:30着) |
岡山(11:45発)/羽田(13:15着) | |
羽田(15:00発)/広島(17:00着) | |
広島(19:00発)/羽田(20:10着) | |
各地の空港では、給油作業やボーディングブリッジ(搭乗橋)の接合、貨物の出し入れ、整備作業など数百の項目について1つひとつチェックされていく。なお、当初の計画にはなかったセントレア(中部国際空港)へも7月10日(日)に羽田から往復することが追加で決定された。中部地区には三菱重工など主要部品の製造に携わったメーカー各社の工場があることから、急きょデモフライトが計画されたのだ。
私の周囲にいる航空写真家たちも、すでに各地へ向かった。これからカメラを持って上記のいずれかの空港を目指すファンも多いだろう。これを書いている7月5日現在、787ドリームライナーの、日本での“熱い1週間”が続いている。
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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