先週最も読まれた記事は「なぜ中国人は『ごめんなさい』と頭を下げないのか」。2位は「中国人女性とのデートで、『中華食べに行こうよ』がNGな理由」、3位は「35歳になった時に心得ていないと、ヤバイこと」だった。
意外なほど読まれたのが、4位に入った先週のトップ10「今、日本人の平均年収はめちゃめちゃ増えている」。あまり聞かない視点ということで書いてみたのだが、平均年収をドル建てで考えると増えているという話である。
ただ、もちろんTwitterやはてなブックマークなどで指摘があったように、ドル建ての平均年収が数字上は増えていても、それがイコール生活の豊かさということにはつながらない。
例えば、ドル建ての平均年収は2000年は4万2780ドルで、2009年は4万2986ドルとほぼ同じ。しかし、消費者物価指数は2000年→2009年で−1.8%と微減しているのに対し、ドル円レートは1ドル=107.76円→94.45円と大幅に円高が進んでいるため、結果的にドル建てで見た消費者物価指数は12.0%上がっており、生活は苦しくなっているのである。
海外旅行に行ったり、FXをやっていたりする人ならドル建てでの平均年収の増加が享受できるのだが、普通の人はなかなか感じられないだろう。円高にともない輸入品の価格がもっと下がれば、そうした人たちも実感できるようになるのだろうがなかなかそうはいかない。
ただ、中には円高で明確に価格が下がった例も登場してきている。それはアップルのApp Storeで提供されているiPhone/iPod touch/iPadアプリの価格である。ちょうど1カ月前の7月14日に突然、115円のアプリが85円になるなど全体的に値下げしたことを覚えている人も多いだろう。輸出大国である日本ではとかく円高は悪だと言われがちなのだが、こういうことがほかの分野にも広がれば消費者の観点から円高を歓迎する声も出てくるように思える(アプリ開発者にとっては収入減につながるが)。
ちなみに、このアプリ価格の改定。日本円だけでなく、同時に複数通貨の価格レートを改定したのだが全体ではどのようになっているのか。「そういえばどこも書いてなかったな」と思ったので、代表的なアプリであるプレゼンテーションソフト「Keynote」の価格を調べて、次の表のようにまとめてみた(ほかのアプリの価格も、基本的にKeynoteと同様の傾向である)。
対円為替レートは8月19日4時時点のもの。表の中の「アップルレート」とはアップルがアプリ価格を各通貨に連動させる際に適用した為替レート(円基準)を算出したものである。
通貨 | 対円為替レート | Keynote各通貨価格 | 日本円換算 | アップルレート(円) | |
---|---|---|---|---|---|
日本 | 円 | − | 850.00 | 850 | − |
米国など | 米ドル | 76.56 | 9.99 | 765 | 85.09 |
ドイツなどユーロ圏 | ユーロ | 109.64 | 7.99 | 876 | 106.38 |
英国 | ポンド | 126.34 | 6.99 | 883 | 121.60 |
スイス | スイスフラン | 96.55 | 10.00 | 966 | 85.00 |
オーストラリア | 豪ドル | 79.34 | 10.49 | 832 | 81.03 |
ニュージーランド | ニュージーランドドル | 62.77 | 13.99 | 878 | 60.76 |
カナダ | カナダドル | 77.29 | 9.99 | 772 | 85.09 |
メキシコ | メキシコペソ | 6.202 | 120.00 | 744 | 7.08 |
デンマーク | デンマーククローネ | 14.71 | 59.00 | 868 | 14.41 |
ノルウェー | ノルウェークローネ | 13.96 | 70.00 | 977 | 12.14 |
スウェーデン | スウェーデンクローナ | 11.86 | 75.00 | 890 | 11.33 |
8月18日現在、123の国と地域別のApp Storeがあるのだが、支払い通貨として用意されているのは12種類のみ。表に載っている国やユーロ圏の国以外はドルとなる。さらに同じ通貨なら、国や地域が違っていても同価格だ。
日本円換算で見ると、Keynoteが一番高いのはつい最近まではフラン高が進んでいたスイスだったのだが、現在はノルウェーで977円。逆に一番安いのはメキシコで744円となる。日本も改定前は1200円と非常に高かったのだが、改定後は850円とちょうど中間に位置するようになっている。
しかし、アップルが使用しているレートは1ドル=85.09円と、現在の1ドル=76.56円からはまだ10円近く離れている。円高メリットを享受したい消費者からすると、再度の改定を期待したいところである。
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