これからの「ニッポンのスーパーマーケット」に必要なものとは?カイモノマーケティング(2/3 ページ)

» 2013年07月03日 14時00分 公開
[畠山敦子,Business Media 誠]

オリジナルエコバッグもブランディングの1つ

 エコバッグの持参の普及率はここ数年、かなり上がってきたように思います。どこも似たようなエコバッグが多い中、ご当地スーパーではオリジナルエコバッグも個性的です。例えば「成城石井」(東京)のオリジナルエコバッグの絵柄は「箱に入ったメロン」。これは創業当時、同社が果物を中心に扱っていたことを表しています。

 知る人ぞ知る、オリジナルエコバッグの先駆け的存在である「ユニオン」(神奈川)も負けてはいません。米国らしいラフさと日本的な実直さのサジ加減が絶妙なユニオンでは、老いも若きも喜々としてこのバッグを持っています。

 何とユニオン元町店では、店内に「ユニオンのオリジナルバッグを持って海外旅行をした人たちのスナップ写真」が展示されているとのこと。後日、私もお店に行ってみると、そこにはバッグを手に楽しそうにほほ笑む人々の姿を収めた写真がところ狭しと並べてありました。

 オリジナルバッグを持っていることがうれしくて、つい旅先にまで持っていってしまう。ユニオンがどんなときでもお客さんの生活に溶け込んでいることの表れでもありますよね。

ユニオン ユニオン店内のようす

 また、地域性をうまく利用しているのが、岡山県にある「マルナカ」下柳店が販売する岡山デニムのエコバッグ。倉敷市児島は明治時代から「繊維の町」として知られ、学生服の生産量が国内トップ。現在でも男子学生服の約7割が児島で生産されています。この技術を生かし、国産ジーンズ発祥の地としても有名になりました。岡山デニムには、海外のファッションブランドからも注文が入るほどです。

森井さんが驚いた、イッショクタにできないご当地スーパー

 私たちの勝手なイメージなのかもしれませんが、ご当地スーパーというと、どうしても地域の県産フェアを思い浮かべて、その土地の地場のモノを過大に期待してしまいます。

 「きりたんぽ」といえば、秋田名物のひとつ。ところが、秋田を除く東北のスーパーマーケットでは売られているのに、肝心な本拠地であるはずの秋田のスーパーマーケットではきりたんぽが取り扱われていなかったことに、森井さんはとても驚いたそうです。

 店員さんをはじめ、いろいろな人に聞いてみた結果、森井さんが出した答えは「きりたんぽはすでに郷土料理の殿堂入りを果たしており、(もともと囲炉裏で食べるものだし)そう頻繁には食卓に上がらないのでは。それに家庭で作るのに難しいものではないので、わざわざスーパーで買わない人も多いのかも」というもの。

 同じく秋田の塩魚汁(しょっつる)も然り。このような「この県には必ずやいっぱいあるだろうと思っていたものが、実際に行ってみると案外そうでもない」というケースが多いというのは意外です。

 一方で森井さんは、自県の産品が多い県のベスト5は、「北海道」「島根」「三重」「徳島」「沖縄」を挙げます。当たり前のように県産品が並んでいて、それが当たり前のように売れていく。北海道や沖縄の人は、自分たちが住む土地に対する愛着が深いとはよく聞きますが、他の3県は意外ですよね。

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