“なでしこヘッドハンティング”で企業が伸びる?ヘッドハンターが明かす転職事情ウソ・ホント!?(2/2 ページ)

» 2014年03月20日 08時00分 公開
[櫻井八重(プロフェッショナルバンク),Business Media 誠]
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 女性登用が叫ばれて10年。一部の企業が動き出してはいるものの、いまだに積極姿勢を見せる企業は少なく、そんな土壌では管理職候補となり得る経験を積めるチャンスを与えられた女性の数が少ないのは、仕方のないことです。男女の区別がない環境と、女性がどうしても避けて通れない出産や育児の壁をサポートする制度を確立させ、女性の働き方に対する意識を社会全体が変えて行動する。総じて、根本的な男女平等の意識が改善されなければ社会は変わらないため、目に見える変化が現れるには、それ相応の時間がかかることでしょう。

 とはいえ、制度や体制を待たずしても優秀な女性が集う会社にしていくことは可能です。社内で生え抜きを登用するのも1つの方法ですが、管理職に外部の人材を積極的に登用するのも大変有効です。今後、女性が活躍する企業に変革しようとするなら女性の経営者や管理職が多いほうが有利ですから、最初は外部から適任者をどんどん集めれば良いのです。優秀な「なでしこ」たちが、生え抜きの社員をまた優秀な「なでしこ」にしてくれるでしょう。

 しかし、外部から登用することは簡単ではありません。優秀な女性管理職で自社の社風に合う人材となると、一般的な公募で採用するのは至難の業です。ヘッドハンティング業界では、まさにこういう企業からの依頼が非常に増えています。私たちは企業の要望に合う女性を全国から探し出し、引き合わせ、何度も面会を繰り返した後に入社してもらうという活動をしています。

 私自身女性であることから、女性のハンティングを担当することも少なくありません。依頼主は、既に女性が活躍の場を定着させている業界の企業はもちろん、これまで完全な男社会の歴史を積んできた企業のどちらもあります。前者はサービス業や、女性や子供向けの商材を扱うメーカーなどで、後者はその他の業種です。前者は主に同業他社から即戦力となる人材を求めますが、後者は風習的に同業にも即戦力となる女性が存在しないため、異業種から優秀な人材を求めざるを得ない場合が多いのが特徴です。両者ともにターゲットは大きく異なりますが、その人材(女性)を登用することで大きな変革を求めていることは共通しています。特に後者の場合は、その会社の文化から変えようとしているのですから、容易なことではありません。

 では、そんな難易度の高い女性のハンティングを成功させるにはどうしたらいいのか。答えは「女性のハンティングに成功する企業は受け入れがとても上手い」ということです。これは男性のハンティングであっても同じことが言えますが、ハンティングをする会社はその人材を登用することで事業を大きく改革したいとか、企業の起爆剤にしたいと考えています。しかし、周囲をうまく巻き込むためにも、移籍してくる当人だけに頼り切らず、企業側がその環境をどれだけ整えられるかが大切になります。成功している企業は、その人がうまくランディングできるように準備を怠らないので、当人にもその熱意が伝わるのです。

 私がこれまでハンティングでお会いした女性は皆、とても優秀で素晴らしい人ばかりでした。しとやかな人や豪快な人、堅実な人、男らしい人。タイプはそれぞれ異なりますが、共通して言えることは、皆「タフ」で「バイタリティ」があるということです。そして、話を聞くうちに「タフ」でならなければならなかった苦悩を知り、女性が社会で活躍することのハードルの高さを痛いほど思い知らされました。男性には計り知れないであろう仕事と家庭の両立、家庭を諦めなければつかめなかったポジション……。彼女たちが新たなフィールドとして女性登用を望む企業に入社したとき、必ず何らかのかたちで変革が起こるのだと思います。

 なでしこの花言葉は、純愛、無邪気、純粋な愛、思慕という女性的なイメージが強い一方、才能、大胆、快活などもあるそうです。日本の女性の才能と大胆や快活さは、日本経済を良い未来へ変えられるのではないでしょうか。(櫻井八重)

※この記事は、誠ブログ“なでしこヘッドハンティング”で日本が変わる?より転載、編集しています。

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