本連載は、山本純子著、書籍『入門クラウドファンディング』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
本書は国内外の諸事情に通じた気鋭のコンサルタントによるわが国初となる「クラウドファンディング」の本格的な入門書です。
不特定多数の人たちをフォロワーに変え、資金を提供してもらいプロジェクトを実現する仕組み――それがクラウドファンディング。クラウドファンディングが大きな注目を集める“本当の理由”とは? 単なる資金調達の手段を超えてプロジェクトの進め方を大きく変える、新しい“おカネの集め方”です。
キックスターターといった世界最大のプラットフォーム、莫大な資金調達をクリアしたプロジェクト、世界的映画監督が仕掛けたプロジェクトに対するさまざまな議論の応酬など、興味深いエピソードも満載。起業家(予備軍)やベンチャー経営者のみならず、一般企業の経営者必読の1冊です!
クラウドファンディングの概念はたいへん広く、なかなか正確な市場規模を把握することが難しい面があります。しかし、12年より米国のコンサルティング会社のマス・ソリューション(massolution)社がクラウドファンディング市場に関するデータを年に1回発行しており、これが参考になります。
そのデータによると、12年の全世界でのクラウドファンディング・プラットフォームを通じて行われた調達額規模は約27億ドルです。
同調査によると、11年が約14億ドルとなっていますから、前年より約2倍の伸びとなっています。さらに13年も約51億ドルほどの市場に成長すると予測しています。今後どれだけの市場になるかは未知数ですが、世界銀行が12年に発行したリポートによると、25年には960億ドル(約9兆円)市場になるだろうという予測もあります。
12年のデータを地域別に見ていくと、北米が16億600万ドルと全世界の59.5%を占めています。次いで欧州の9億4500万ドル(35%)、オセアニアの7600万ドル(2.8%)と続き、アジアは全体で3300万ドル(1%強)と、まだ小さな規模にとどまっています。
しかしながら、11年ごろを境に日本をはじめ、韓国、香港、シンガポールなど、アジア諸国でもクラウドファンディング・プラットフォームが続々と登場しています。
とくに、再度世界銀行のリポートを参照すると、彼らが予測する25年のクラウドファンディングの市場規模960億ドルのうち、実は約半分となる460〜500億ドルは中国が占める内訳になっています。確かに、これまでアジアのなかでもクラウドファンディングについてそれほど目立った動きのなかった中国本土ですが、13年11月に自国のクラウドファンディング・サイト「デモアワー(DemoHour)」において、オンライン・アニメ制作費として約5500人から20万ドル以上を調達したという実績も登場し、今後の成長が注目を集め始めているところです(※1)。
これらの動きを総合して考えると、アジアのクラウドファンディング市場の伸びはこれからではないかと思われます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング