たとえ自分の身体が満身創痍であったとしても、それをイクスキューズの材料にしてはいけない――。この姿勢を本田が今でも徹底させているのは、松井先輩の流儀を貫いているからなのである。
しかし、本田は人一倍勝ち気な性格の持ち主。生涯ずっと松井氏を目標の人物のままで終わらせるつもりはない。前出のOBも「圭祐(本田)は松井について、こう言っているんですよ。『尊敬はしている。でも、いずれあの人を超えなきゃいけない』とね」と打ち明けている。
W杯で優勝し、スペイン・リーガ・エスパニョーラの名門レアル・マドリードで10番を背負う。本人が公言しているように、この二つは本田が目指している究極のポジションだ。成し遂げれば、母校の偉大な先輩である松井氏の存在を超えることも決して夢ではないはずである。
大言壮語やビッグマウスなどと嘲笑している人はいるかもしれない。が、彼は本気だ。サムライブルーのエースが、かつての松井氏のようにコンディション不良の逆境を乗り越え、W杯で大きな輝きを放つことを強く期待したい。職場で本領を発揮できずに悩みを抱えているビジネスパーソンにとっても、本田がゴールに向かって必死にプレイする姿はきっと良薬になるはずだ。
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