JR東日本の車両のライフサイクル短縮化は成功し、基調方針となった。山手線に導入される今回のE235系もその流れで登場する。
山手線の歴史を振り返ると、新車導入後、約3年ですべての車両が新型に置き換わっている。この慣例通りなら、2015年にE235系が導入されると、2018年には山手線の全車両が新型になる。2020年の東京オリンピックまでに全車両の入れ替えが完了する。
新技術を取り入れるために新車にする。そんなコンセプトのもとで、E235系は従来の山手線電車E231系と何が違うだろうか。まず、外観デザインの変化を見てみよう。ここに示された思想は「ホームドアへの対応」だ。
まずは正面のヘッドライトの位置。E231系では運転席の下にあった。E235系は運転席の上にある。ヘッドライトが下にあるとホームドアに遮られ、列車の接近が分かりにくい。だから、ヘッドライトを高くしてホームからの視認性に配慮したと考えられる。前面の行き先表示LEDパネルも大型化してフルカラーとなる。これもホームドア越しに列車を識別しやすくするためだ。
ホームドアは安全の最善策の一つ。ただし、乗客から車両全体が見えにくい欠点もある。電車の車体には重要な情報がある。「ラインカラー」だ。その電車がどの路線を走るか、乗客が乗り間違えずに目的地へ向かえるか。その大事なラインカラーをホームドアは隠してしまう。
そこでE235系は、E231系で水平だったウグイス色の帯を廃止し、ドアと、ドア付近の屋根から足元までの垂直方向に色を付けた。これなら乗客は乗降時にしっかりとラインカラーを確認できる。先頭車前面の色塗り面積が増えた理由も同じだろう。このデザインには「2020年までに山手線全駅へホームドアを設置する」というメッセージが隠されている。
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