都心〜羽田「JR東日本の羽田新線」、新案で再浮上する「やっかいな問題」杉山淳一の時事日想(5/6 ページ)

» 2014年08月22日 08時00分 公開
[杉山淳一Business Media 誠]

再浮上するりんかい線運賃問題

 JR東日本によると、全線開業の目標は2025年前後。東京駅―羽田空港駅間は現在の約28〜33分が約18分に短縮、新宿駅―羽田空港駅は現在の約41〜45分が約23分に短縮、新木場駅―羽田空港駅が約41分から約20分に短縮される。

 運賃は、東京―羽田空港はすべてJR東日本の線路だから、現在の運賃制度では約16キロメートル、310円となり、かなり安い(新路線の距離と運賃は著者試算)。しかし、もっと高くなる可能性もある。羽田アクセス線は総工費が3000億円以上となり、JR東日本は国や東京都に等分の負担を求める意向だ。そして大工事をともなう新路線では、債務返済のため加算運賃を設定する場合がある。現在の京急空港線も割増運賃となっている。

 新木場駅―羽田空港第2ビル駅は、天王洲アイル駅でりんかい線と東京モノレールを乗り継いで820円。新路線では480円。新宿―羽田空港は品川乗り換え京急電鉄経由で610円。新路線では840円になる。これもライバルの京急にとっては安心材料かもしれない。なぜ、新宿駅―羽田空港駅間の運賃は割高になるか。その理由は「りんかい線経由」だ。りんかい線の運賃はJR東日本より高めに設定されている。乗り入れると、利用者の運賃の合算となる。新木場駅―羽田空港駅間は天王洲アイル駅経由より安くなるけれど、これはモノレールの運賃が高いから安く見える。

 新宿駅、新木場駅から羽田空港までの運賃が東京からの運賃より高い理由は、りんかい線を経由するからだ。しかしこれは「乗り換えなし」と「所要時間短縮」のメリットを考えれば妥当かもしれない。

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