なぜ、“うどん県”からチェーン店が出てこないのか仕事をしたら“うどん”のことが見えてきた(前編)(5/7 ページ)

» 2014年08月27日 08時00分 公開
[土肥義則Business Media 誠]

丸亀製麺とはなまるの違い

高木: なるほど。はなまるは2002年にフランチャイズ展開をして店舗を増やしていくのですが、2004年に業績が悪化し始めました。その後、吉野家の関連会社になって、不採算店舗を整理することに。

 一方、丸亀製麺の1号店は、はなまるがオープンしてから半年後の2000年11月に、兵庫県加古川市でスタートしました。運営しているトリドールは焼き鳥店がメインだったのですが、2004年に発生した鳥インフルエンザの影響で業績が悪化しました。「これではいけない」ということで、それからうどん事業にチカラを入れ始めたんですよね。

土肥: ということは、はなまるが苦戦している合間を縫うようにして、丸亀製麺が拡大していったということですか?

高木: はい。丸亀製麺は出店を加速させました。2004年度に7店舗、2005年度に15店舗、2006年度に25店舗と……。

土肥: 店舗数をみると、はなまるの341に対し、丸亀製麺は774。売上高をみても、はなまるの181億4400万円に対し、丸亀製麺は708億5000万円。両社の間でかなりの差が開いてしまったのですが、なぜここまで差が開いたのでしょうか?

高木: 最大の違いは「製麺方法」ですね。はなまるは、これまでの飲食チェーンのやり方を踏襲しています。工場をつくって、そこで麺をつくり、それを全国の店舗に輸送する。なので、うどんの品質でいえば、はなまるのほうが安定しています。

 一方、丸亀製麺は店内に製麺機を導入しているので、味は店によってバラつきがあるかもしれません。しかし、店の雰囲気を含めて、工場でつくったモノよりも「おいしい」と感じる人が多いのではないでしょうか。

土肥: 両社の最大の違いは「製麺方法」ということですが、メリットとデメリットがありますよね。

高木: 各店に製麺機を置くとなると、初期投資の費用がかさみますよね。丸亀製麺に導入されている機械は1台300万円ほど。また、機械を置くスペースが必要になりますので、そのぶんの賃料がかかりますし、うどんをつくる人が必要になるので、人件費も余分にかかります。

 一方のメリットは、工場でつくっていないので、麺の輸送費が要りません。また、店内でうどんをつくっている光景を見ることができるので“臨場感”を味わえるのではないでしょうか。

土肥: なるほど。

高木: 丸亀製麺は店内に製麺機を設置しているわけですが、その背景に技術革新があるんですよ。うどんを作る工程は、大きく分けて4つあります。水まわし(小麦粉と塩水を混ぜる)、プレス(一定の圧力を生地にかける)、のし(ローラーでのしていく)、包丁切り。以前は各工程に1台の機械が必要だったのですが、丸亀製麺が導入している製麺機は、4つの工程を1台ですべて行うんですよね。なので最小限のスペースでうどんをつくることができるんですよ。

丸亀製麺の多くは、地方のロードサイドにお店を構える

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