以上、2つの例を出したが、人々によって、またシチュエーションによって、「高い」と「安い」、あるいは「お得」と「損」の金銭感覚は大きく変化する。以前、私がまとめたレポートで、普通の生活者でも金銭感覚に狂いが生じる場面として、次の7つの事例を挙げたことがある。
(1)限定品:
どうしてもほしい、あるいは必要なモノに限りがある場合、それを得るために当然ながらいつも以上のお金を投じる。オークションでの競合い、「残りわずか!」のキャンペーン文言のチカラ、4年前の震災直後の品不足下での高騰など、価格が倍になってもお金を出すという異常な状況が一時的に発生する。コンサートのチケットなども良い席は高値で取引され、それを見越した裏商売も発生する。
(2)非日常:
クリスマスや記念日、冠婚葬祭などには、ここ一番、ケチらないで高価なものを買う場合が多い。また旅行先などでも、普段であればあり得ないような豪華な食事をしたり、ディズニーランドのお土産もあまり値段を気にしないで購入していることだろう。毎日の生活で節約&倹約しているので、特別な日くらいは“自分へのご褒美”として多少ぜい沢な出費は容認しているわけである。
(3)リスクヘッジ:
自分や家族への危害や損失を防ぎ守るためにお金を投じる。先ほど例に挙げたPC修理出張サービスの会費などはまさにこれで、自分の夫としての威厳を守るために出費やむなし! というわけである。また、オレオレ詐欺などで、窮地に陥っている息子を救うべく、電話の相手をよく確かめもせず大金を振り込んでしまうのもこれにあたる。保険の勧誘に乗せられてしまうのも同じ。
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