土肥: お菓子勉強家の松林さんにおうかがいします。スーパーやコンビニのお菓子コーナーに行けば、たくさんの商品が並んでいるのに、よーく見れば定番商品ばかりなんですよね。「この商品、見たことがない!」といったモノを見つけるのが、本当に難しい。なぜこうした現象が起きているのでしょうか?
松林: その答えを言う前に、お菓子の歴史をご紹介させてください。下の年表を見ていただけますか? これは1960年代前半までの主なお菓子が並んでいます。ここでドイさんに質問です。商品名がズラリと並んでいますが、ある共通点があるんですよ。それは何だと思いますか? 一部例外はありますが。
発売年 | メーカー名 | 商品名 |
---|---|---|
1913 | 森永製菓 | ミルクキャラメル |
1918 | 森永製菓 | ミルクチョコレート |
1922 | 江崎グリコ | グリコ |
1923 | 森永製菓 | マリービスケット |
1926 | 明治製菓 | ミルクチョコレート |
1926 | セイカ食品 | ボンタンアメ |
1927 | 明治製菓 | サイコロキャラメル |
1930 | 森永製菓 | マンナ |
1933 | 江崎グリコ | ビスコ |
1945 | 近畿食品 | すこんぶ |
1948 | 佐藤製菓 | 松露 |
1949 | パイン | パイン飴 |
1949 | 島田製菓 | ラムネ菓子 |
1950 | 春日井製菓 | チャイナマーブル |
1952 | オリオン | ココアシガレット |
1952 | 不二家 | ミルキー |
1954 | 不二家 | ポップキャンディー |
1955 | 江崎グリコ | アーモンドグリコ |
1955 | カンロ | カンロ飴 |
1957 | ロッテ | グリーンガム |
1958 | 江崎グリコ | アーモンドチョコレート |
1962 | 不二家 | LOOKア・ラ・モード |
1962 | 松尾製菓 | チロルチョコレート |
1962 | 明治製菓 | アーモンドチョコレート |
土肥: うーん、何でしょう? 広報のYさんも一緒に考えてくださいよー。
広報Y: うーん、分かりません。
松林: 答えは「甘い」なんですよね。当時のお菓子といえば「甘いモノ」だったんですよ。しかし、60年代前半から甘いモノだけでなく、甘くないモノが増えてきました。例えば1962年に「ポテトチップス のり塩」(湖池屋)、1968年に「カール」(明治)などが登場しました。甘いモノだけではなく、スナック菓子が支持されたことで、お菓子にも多様性が広がってきました。
あと、60年代前半までは、いわゆる“単品”モノが多かったんですよね。チョコ、飴、キャラメル、ビスケットといった感じで。ただ、60年代半ばになると、組み合わせ商品が増えてきました。例えば、1966年に発売された「ポッキーチョコレート」(江崎グリコ)。既存商品「プリッツ」にチョコレートをコーティングするなど、工夫された商品が目立ってきました。さらに「源氏パイ」(三立製菓)、「おにぎりせんべい」(マスヤ)など、素材にも変化が出てきました。
あまり知られていないと思うのですが、お菓子って社会の動きに大きな影響を受けているんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
発売年 | メーカー名 | 商品名 |
---|---|---|
1962 | 湖池屋 | ポテトチップス のり塩 |
1963 | 日清 | シスコーン |
1963 | 江崎グリコ | プリッツ |
1965 | 三立製菓 | 源氏パイ |
1965 | 亀田製菓 | 柿の種 |
1965 | 森永製菓 | チョコボール |
1966 | 江崎グリコ | ポッキーチョコレート |
1969 | マスヤ | おにぎりせんべい |
1969 | 明治製菓 | アポロ |
1970 | サクマ製菓 | いちごみるく |
1970 | 名糖産業 | アルファベットチョコレート |
1972 | 東ハト | オールレーズン |
1972 | カルビー | サッポロポテト |
1973 | 不二家(ネスレ) | キットカット |
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