松林: 1954年12月から1973年11月まで、日本は高度経済成長を経験しました。戦後、焼け野原で何もないところから世界第2位の経済大国にまで上り詰めていったわけですが、このころのお菓子メーカーはさまざまなチャレンジをしているんですよね。例えば、1962年に「チロルチョコ」(松尾製菓)、1965年に「柿の種」(亀田製菓)などが発売されました。
また、芸能界に目を向けると、山口百恵さん、桜田淳子さん、森昌子さんの“花の中三トリオ”、郷ひろみさん、西城秀樹さん、野口五郎さんの“新御三家”が流行っていました。アニメ『ちびまる子ちゃん』の時代ですよね。家族みんなが居間にある一台のテレビを見ていたので、お菓子も“みんなで食べることができるモノ”が多かったんですよ。
土肥: 確かに大きな袋に入ったモノが多かったですね。
松林: 80年代に入って、松田聖子さん、中森明菜さん、田原俊彦さん、近藤真彦さんらが活躍されていました。80年代半ばにバブル経済に突入して、いわゆる“イケイケ”な雰囲気が漂っていましたよね。ボディコンが流行ったりして。
お菓子の新商品をみると、このころは“おもしろいモノ”が増えているんですよ。例えば、1984年に「コアラのマーチ」(ロッテ)。普通のビスケットではなく、中にチョコを入れました。それだけではなく、コアラをプリントしました。
同年に「カラムーチョ」(湖池屋)も発売されました。それまでお菓子といえば「子どもが食べるモノ=購入するのはお母さん」だったのですが、カラムーチョは若い男性をターゲットにしました。“ちょっと変わったお菓子をつくろう”といった動きが、業界に広がっていました。
| 発売年 | メーカー名 | 商品名 |
|---|---|---|
| 1975 | 江崎グリコ | コメッコ |
| 1975 | 森永製菓 | ハイチュウ |
| 1975 | 明治製菓 | きのこの山 |
| 1975 | カルビー | ポテトチップス うすしお |
| 1976 | 江崎グリコ | いちごポッキー |
| 1976 | ヤマザキナビスコ | チップスター |
| 1977 | 三幸製菓 | 雪の宿 |
| 1976 | 亀田製菓 | ハッピーターン |
| 1977 | ロッテ | ビックリマンチョコ |
| 1978 | ハウス食品 | とんがりコーン |
| 1979 | やおきん | うまい棒 サラミ味 |
| 1981 | 森永製菓 | おっとっと |
| 1983 | ロッテ | チョコパイ |
| 1983 | 味覚糖 | おさつどきっ |
| 1984 | 不二家 | カントリーマアム |
| 1984 | ロッテ | コアラのマーチ |
| 1984 | 湖池屋 | カラムーチョ |
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