トヨタとBMW、燃料電池やスポーツカー開発で提携――すべては「もっといいクルマ」をつくるため
トヨタとBMWは、燃料電池や電動化、軽量化、スポーツカーの共同開発の4つのテーマで長期的な戦略的協業を目指すことになった。
独BMWグループとトヨタ自動車は2012年6月29日、戦略的な協力関係の強化を発表した。スポーツカーの共同開発や電動化に関する協業など4つのテーマで長期的な協業を目指す。
2012年3月に次世代リチウムイオンバッテリー技術の共同研究を開始した両社。また、BMWは2014年から欧州市場で販売を予定するトヨタ車に1.6リッターと2リッターの4気筒ディーゼルエンジンを供給することが決まっている。
今回の発表では新たに、「FC(燃料電池)システムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「電動化に関する協業」「軽量化技術の共同研究開発」の4つで長期的な戦略的協業を目指すことになった。
共同声明の調印のためにBMW本社を訪問したトヨタの豊田章男社長は、「BMWとトヨタは、『もっといいクルマの追求』という共通の価値観を持ち、ともに尊敬の念を抱いているからこそ、提携合意からわずか半年で、次のステップを踏み出すことができたのだと思う。両社の強みを生かし、環境にも優しく、世界中のクルマ好きを興奮させるスポーツカーの誕生を楽しみにしている」とコメントした。
クルマ好きのハートを揺さぶるクルマは会議室では生まれない
以下、豊田社長のスピーチを抜粋する。
「今回の提携は、規模の拡大を目指すものでも、資本関係を結ぶものでもありません。純粋に、両社が『もっといいクルマ』を追求するために、手を携えるものです。
私は、評価ドライバーとして、ニュルブルクリンクでの車両開発にも参加しております。ニュルほど、クルマにとって、あるいはドライバーにとって、過酷なコースはありません。
ニュルを走っている時には、道がクルマを跳ね上げたり、クルマもドライバーも放り出されるような感覚になるコーナーがたくさんあります。『クルマは道がつくる』ということを、私に教えてくれたのも、ニュルでした。
ですから、多くの自動車メーカーが、これから世の中に出す新型車をニュルに持ち込み、お互いに競いながら開発を進めているのです。私がニュルでクルマの評価をしていると、必ず私を追い抜いていくクルマがあります。それがBMWです。
プレミアムブランドでありながら、『走り』において、一家言持っている会社。『クルマは道がつくる』ことを一番よく知っている会社。そして、私が、ニュルで最も意識するライバル。私にとって、BMWというメーカーは、尊敬すべき『クルマ』会社なのです。
(中略)
また、私としては、ニュルをはじめ、これから自動車開発に関わるさまざまな現場で、両社のエンジニアがどんな『クルマ談義』をしてくれるのか、今から楽しみにしています。両社の提携の果実、例えばクルマ好きのハートを揺さぶるような魅力ある商品は、決して会議室からは生まれません。開発現場での『クルマ談義』から生まれるものだと思っております。
私やライトホーファー取締役会長も、時々『クルマ談義』に参加させてもらえれば、こんなに嬉しいことはないのですが……
(中略)
両社の強みを生かし、環境にも優しく、世界中のクルマ好きを興奮させるスポーツカーの誕生を、私自身が一番楽しみにしているのではないでしょうか。
すべては、『もっといいクルマ』をつくるために。BMWと一緒に仕事をさせていただくことが、私たちが目指す『もっといいクルマ』づくりに必ずつながると信じております」
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