「草食なOTAKU」――日本男子は仕事で出世できないらしい:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
英ガーディアン誌が「なぜ日本人はセックスをしなくなったのか」という記事を公開した。この話題は欧米のネット上に瞬く間に広がった。日本の若者はどんな目で見られているのか?
OTAKUは女性型ロボットでないと性的に興奮できないらしい
日本の「草食化」が世界でさらに知られるきっかけを作ったガーディアンの記事を書いたハワース記者は、記事の中で「特撮テレビドラマのパワーレンジャーのようなテレビゲームに登場する女性ロボットを見ながらでないと性的に興奮できない」という30代の童貞男性について書いている。
この記事を取り上げた他の欧米の記事やネット上のコメントには、この部分を引用しているものが多い。あたかも、日本人はそうした「OTAKU(外国人の言うところのオタク)」の文化につかっているために、普通の方法では性的に興奮しないとでも言わんばかりだ。この部分が一人歩きしている感が否めない。
もちろん日本人や日本文化について分かっている外国人なら、そんなことはあり得ないと理解されるのだが、世界ではこうした「奇妙な国、ニッポン」のステレオタイプ的なイメージが拾われ、ネットなどで広がっている。そして、「だから日本人は(現実の)セックスを止めてしまった」のだ、と。
ちなみに、ガーディアンなどの記事やネット上のブログなどでこの話が話題になったとき、米ワシントンポスト紙が電子版で、「心配しないで。日本人はかなりセックスしているから」という「反論」のデータを掲載した。そこには、国立社会保障・人口問題研究所による統計がグラフ化されており、結婚経験のない男女(18〜24歳)でセックスをしたことがある人の数は、1987年から男女ともに減少した年もあるが増加傾向を示して いる(参照リンク)。
この話を単なる「下ネタ」だと片付けないほうがいいかもしれない。というのも、ドイツの労働市場を調査する労働研究学会の研究員で英ケンブリッジ大学の経済学講師でもあるニック・ドライダキスの最近の調査によれば、セックスを頻繁にする人ほど給料が高くなることが分かった。26〜50歳で、週に4回はセックスをする人は給料が他の人よりも高いという。
ビジネスパーソンにも、セックスは大事な要素だということらしい。セックスにより幸せ度が高まり、落ち込むことも少なくなり、それによって仕事も充実していく。健康度や幸せ度が高い人は、仕事が順調に進んで、収入も増えるということが調査からは分かったという。
日本の「草食化」は時代背景などの要因で仕方がない部分もあるのだろうが、仕事でバリバリ働くためにはセックスはプラスに働く。「肉食系」のほうが出世する可能性が高いのかもしれない。
ともかく、「セックスをしないOTAKUの国」というイメージはうれしくない。それを払拭(ふっしょく)したいと思うのは著者だけではないと願わずにいられない。
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