日本人が抱える「英語トラウマ」の取り除き方:8言語マスター・新条正恵さんインタビュー(2)(3/3 ページ)
グローバルビジネスの世界で、日本人は「英語が苦手」なばかりに取り残されてしまっている――そう警鐘を鳴らすのは、外資系企業で長く働いてきた新条正恵さんだ。8カ国語をマスターした彼女に、日本人が抱える「英語トラウマ」の取り除き方を聞いた。
英語トラウマをなくすためには、英語を話すこと=「怖いこと」から、「楽しいこと」へとマインド・リセットすることが大切です。そのためには、とにかく自分から英語を話してみるしかありません。英語を話す機会を作り、そのための環境に身を置くことです。外国人の知り合いがいればぜひ積極的に話しかけてください。外国人が集まる場所に行ってみるのもいいですし、オンライン英会話もおすすめです。
私が進行を務める「マルチリンガル・クラブ」の読書会には、大学を卒業して以来10数年、英語を一度も話していないという人がよく来ますが、2〜3時間の読書会が終わる頃には9割、2回目の参加では100%の人が自分から英語を話すようになります。
読書会の第一の目的は「英語トラウマをなくすこと」。文法や単語、時制を間違えていても構わないので、とにかく話してみてくださいというスタンスで進めます。課題の本を読みペアを組んで話し合ったり、全員に向けて発表もしてもらいます。どんな発言も否定せず、全員で拍手をしてほめ合います。発言者が言葉に詰まって困ったら、私がそっと単語や表現を教えて、話を前に進めます。そうするうちに、英語を話すのが楽しいことに変わります。読書会が終わった後も、英語で会話を続けている参加者はたくさんいます。
相手がたとえネイティブの外国人であっても、このマインド・リセットをぜひ忘れないでください。外国人は非ネイティブの英語に慣れていますから、文法や単語、時制を間違えていても大丈夫。あなたが伝えたいことは、必ず理解してもらえるものです。
今回のポイント
- ビジネスシーンでは誰も難しい英語を話していない。必要な英語力は「中学レベル+α」でOK
- 英語トラウマを取り除こう。間違えないことよりも、伝えることが大切というマインド・リセットを行う
プロフィール
新条正恵
1978年生まれ。英国の高校、米国の大学に留学。外資系企業で12年間勤務し、外資系銀行でヴァイスプレジデントを務める。転職5回、海外勤務の経験もあり。
2014年に独立し、現職は約1カ月で受講者がバイリンガルになる短期集中型完全オーダーメイド・プライベートレッスン講師、企業向け語学研修コンサルタント。多言語サロン「マルチリンガル・クラブ」主催。約2時間で参加者の9割が英語を話すようになる外国語読書会「Multilingual Read for Action」開発者。
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