音声認識で人間並みのコミュニケーションが可能に――「AmiVoice」の未来:Googleの「音声検索」とは違う(2/2 ページ)
アドバンスト・メディアは、同社の音声認識技術「AmiVoice」を用いた幅広いサービスを展開している。同社が目指すのは、これまでの「機械中心」だった音声認識を超える「人間中心」のサービスだ。一方で、iPhoneやAndroid端末などモバイル分野にも注力していく。
Android端末向けにも音声認識サービスを提供する
AmiVoiceは電子カルテやコールセンター、ゲームソフト、議事録作成など日常生活の幅広いシーンで活用されているが、モバイルの分野では今後どのような進化を遂げるのだろうか。アドバンスト・メディア 代表取締役社長の長谷川一行氏は「これまでの音声認識のインタフェースはPCが主要だったが、今後はモバイルが重要になる」とした上で、「音声端末や、iPhoneを含むスマートフォンを音声認識インタフェースの中核に据えたい」と話す。
ケータイの音声認識は音声入力メールやTwitter投稿、地図検索などコンシューマー向けに留まらず、受付や予約の音声自動応答や、業務報告・記録、遠隔医療支援など法人向けソリューションも強化していく。対応機種は現在らくらくホンとiPhoneが中心だが、「Android端末向けのサービス提供も検討している」(長谷川氏)という。
またアドバンスト・メディアは1月22日から、サーバを介さずに音声認識が可能になるスタンドアロン型の「音声認識メールST」と「音声認識付箋ST」を販売。従来の分散型音声認識技術のDSRと、今回のスタンドアロン型を実装させたことで、「どのタイプの音声認識サービスも準備できる」と長谷川氏は同社の利点を強調した。
同社モバイルチームの枝連俊弘氏は、「スタンドアロン型の音声認識メールSTは、(QUALCOMMのチップセット)Snapdragonを搭載した端末でも動作するので、こちらも今後展開したい」と話した。iPhone 3Gについては「現実的なスピードで動作しない」ことから音声認識メールSTと音声認識付箋STは非対応となった。
無料で利用できるGoogleの音声検索は同社にとって大きな競合相手となるが、「これまでは音声認識の周知に苦労してきた。スマートフォンが伸びると音声認識の市場が広がるので、競合サービスはむしろ好機と考えている」と枝連氏は楽観的な姿勢。Googleの音声認識が「単語入力」に適しているのに対し、AmiVoiceの音声認識は高精度の「文章入力」をサポートしているのも、大きな違いといえる。
医療や議事録などの限られたシーンは別として、公共の場や道端で音声入力をするのが「恥ずかしい」と感じる人が多いのも事実。鈴木氏はこうした現状を「まだ音声入力の文化ができあがっていないため」と見る一方で、「我々がその文化を作っていきたい」と宣言。枝連氏も「まだスタート地点に立ったにすぎない」と話す。音声認識の持つ、ビジネスモデルとライフスタイルの可能性をどこまで開拓できるか――アドバンスト・メディアの舵取りに注目したい。
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