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1人1人のデータライフに合ったプランを選べる――au「カケホとデジラ」はココが違う

KDDIが通話定額サービスと新しいパケット定額サービスをセットにした「カケホとデジラ」を発表した。すでに同様のサービスを発表しているドコモとソフトバンクのプランとは何が違うのか? 田中孝司社長が説明した。

 NTTドコモ、ソフトバンクモバイルに続き、KDDIも国内通話が完全定額になる料金プランと、新しいパケット定額サービスを8月13日から提供する。auのプラン名は「カケホとデジラ」。「カケホ」には「電話カケ放題」、「デジラ」には「データ自由ライフ」という意味が込められている。

 電話カケ放題プランはスマートフォンが月額2700円(税別、以下同)、ケータイが月額2200円で、ドコモとソフトバンクと同じ料金設定だが、データ定額は2社と異なる2Gバイト(3500円)~13Gバイト(9800円)の6種類を用意した。「auスマートバリュー」を適用すれば、月額934~1410円の割引が可能だ。

 KDDIは6月25日にメディア向けの説明会を実施し、代表取締役社長の田中孝司氏が、新料金プランの狙いを説明した。

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「カケホとデジラ」をアピールする田中社長

 KDDIは現在、月額934円の基本プラン「LTEプラン」と、月7Gバイトまで利用できる月額5700円のパケット定額サービス「LTEフラット」を、4G LTEスマホの主要なプランとして提供しているが、田中氏は「スマホ料金のニーズは変化してきた」と話す。現在、auユーザーのスマートフォン比率は49%まで上がり、新しい商品やサービスを取り入れる層(早い順に「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」)のうち、アーリーマジョリティまでがauスマホを利用していることになる。今後は、レイトマジョリティやラガードと呼ばれる層に、いかにスマホを訴求するかが重要になる。

 そうした中でKDDIが着目したのが、それぞれの層が、毎月どれだけのデータ量を消費しているか。KDDIの調査によると、イノベーターとアーリーアダプターは4~5Gバイトが中心で、7Gバイト以上を使う人も多い。アーリーマジョリティは2~4Gバイト、レイトマジョリティは3Gバイトまでが中心だという。このように、ユーザー層によって利用するデータ量はまちまちなので、「それぞれのクラスターにマッチしたプランを提案しないといけない時期に来ている」と田中氏は判断した。

1カ月あたりのデータ量はユーザー層によって異なる

 そこでKDDIが提案するのが、ティアード型(段階別)のプラン。スマホの音声定額は月額2700円の1種類しかないが、パケット定額は2Gバイト、3Gバイト、5Gバイト、8Gバイト、10Gバイト、13Gバイトの6種類を用意。田中氏は、ドコモとソフトバンクモバイルにはない、データ量が3Gバイト、8Gバイト、13Gバイトまでのプランを導入して選択肢を広げたことを強調する。「細かい段階をつけて、お客様1人1人が選びやすくした」と同氏。

 1Gバイトあたりの料金は、2Gバイト~5Gバイトはドコモとソフトバンク同じ(1750円~1000円)だが、5Gバイトを超えるプランの1Gバイトあたりの料金は、auが一番安い。例えば10Gバイトの「データ定額10」の料金は800円/1Gバイトで、ドコモとソフトバンクの950円より安い。「(データ量を)たくさん使うほどもっと安くなる」のも、auならではだと田中氏はアピールした。

ドコモとソフトバンクの新料金プランはほぼ横並びだが(写真=左)、auは13Gバイトまでの範囲で、よりきめ細やかなプランを用意した(写真=右)
auのデータ定額では3Gバイト、8Gバイト、13Gバイトを選択できるのが特徴だ

0.5Gバイトで1000円または0.5Gバイトで550円の追加チャージが可能

 家族間でデータ量を分け合える仕組みも、ドコモとソフトバンクとは異なる。ドコモとソフトバンクの新料金プランでは、月額500円を支払うことで、2Gバイト~30Gバイトのプランのデータ量を家族間でシェアできる。auの「データギフト」では、家族はそれぞれデータ定額を個別に契約し、余ったデータ量を0.5Gバイト単位でほかの家族にプレゼントできる。データのプレゼントに追加料金は発生しない。また、データギフトでは既存プランでも利用可能だ。

 ドコモとソフトバンクのデータシェアでは、例えば家族の1人が大量に通信したために、ほかの家族が十分なデータ量を確保できなくなる恐れがある。実家を離れて暮らしている家族がいると、誰がどれだけ通信しているのかが分かりにくいこともあるだろう。また、1カ月のデータ量を超過した場合、誰が追加データを購入するのか? という問題もある(お父さんが買うのだろうけど)。余裕を持って10Gバイト以上のプランに契約したものの、データ量が余ってしまうのももったいない(ソフトバンクはデータの繰り越しが可能だが)。

他社の新料金プランでは、家族間で無駄なくシェアができるかは疑問……とKDDIは考える

 上記の問題を解消し、「家族でもユーザーそれぞれのデータライフに合ったプランを選んでほしい」という思いから、KDDIはデータギフトを考案した。これが「デジラ」=「データ自由ライフ」というサービス名につながったわけだ。


他社の「シェア」に対して、auは「ギフト」というサービスを用意した

 データギフトの提供は12月からとやや遅れるので、8月から11月までは、毎月のデータ容量の20%をプレゼントするキャンペーンを実施する。

 なお、カケホとデジラでは、電話カケ放題プランの選択が必須となり、ドコモとソフトバンクのようにデータプランのみは選べない。auのスマホとタブレットを使っているユーザーには、スマートフォンとタブレットで7Gバイトずつ(計14Gバイト)を利用できる「はじまる!データシェアキャンペーン」を11月まで提供する。12月からは9Gバイトをスマホ(7Gバイト)とタブレット(2Gバイト)でシェアできる「データシェア」を開始する予定だ。

 電話カケ放題プランの「2700円」という料金は、通話をそれほどしない人には高いとみる向きもある。田中氏は「高い気がしないでもないけど……」と本音を話すが、「調査によると、今電話をしていない人も、(通話定額で)通話が4割増えるという結果も出ている。キャリアの音声プランはリーチしやすいサービスなので、申し訳ないが、他社と同じにさせていただいた」とした。

 月額934円の現行プラン「LTEプラン」を契約している人は、新料金プラン提供後も利用し続けられる。今後、LTEプランの申し込みを終了するかどうか、また終了するスケジュールなどは現時点では未定だ。

 データ定額のスタートを2Gバイトからとし、多くのMVNOが導入している1Gバイトのプランを用意しなかったのは、「もう1つ(プランを)入れるかという話もあったが、わけが分からなくなる」(田中氏)と考えため。余ったデータ量の繰り越しについては「今後どうするかという議論」とした。

 KDDIが今後開始を予定している「VoLTE」の料金については、「先のことは分からないが、基本的にはあまり変わらないと理解していただければ」とコメントした。

auスマートバリューを組み合わせることで、さらに安くなる
6年目以上のauユーザー向けに、毎月のデータ量を3カ月ごとにプラスする長期優待データギフトも提供する
ケータイ向けの料金プランは3社横並びだが(写真=左)、auケータイはスマートバリューの対象にもなる(写真=右)
カケホとデジラ、各種キャンペーンの提供スケジュール(写真=左)。カケホとデジラ、4つのポイント(写真=右)

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