「Xperia Z4」は雨の日でも“Ingressのグリフハック”ができるスマホだった!:緊急レビュー
KDDIの発表会でXperia Z4のデモを見て、「これはIngressに使えるのでは?」と驚いた。それは水でぬれてもタッチパネルが正常に動作すること。さっそく実際にぬらして“グリフハック”してみた。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアによる2015年夏モデルの新製品発表会が終了した。いずれの製品も高性能であり、高速通信に対応し、高性能なカメラを搭載している。機種変更を考えている方は、どの端末にするか悩み始めている頃だろう。万人に向けたいいものが作られているからこそ、悩みは深くなる。
そこで、「こういう人にはこの端末のこの機能が響くのではないかー」という情報が提供できないかと考え始めた。たとえマニアックな機能でも、ほかと比べて秀でていれば、差別化につながるのではないだろうか。案外メーカー側は、それが大事な機能であると気づいていない場合も多いのだ。そんなことを考えていたとき、今期発表された「Xperia Z4(以下、Z4)」について、あることに気づいた。
Z4は、ソニーモバイルが開発した2015年夏のフラッグシップモデルである。液晶サイズは5.2型で、厚さ約6.9ミリ、重量約144グラムと薄く軽く、美しいフォルムを持った端末だ。CPUは64ビットオクタコア、OSはAndroid 5.0。パフォーマンスはXperia Z3の約2倍に向上しているという。バッテリー容量は2930mAh、防水性能はIPX5/8、防じん性能はIP6Xとなっている。White、Black、Copper、Aqua Greenの4色がラインアップされており、NTTドコモ(SO-03G/6月中旬)、KDDI(SOV31/6月中旬)、ソフトバンク(6月中旬)の3キャリアから発売予定だ。詳しくは各キャリアの発表会レポートをご覧いただきたい。
- →Xperia Zシリーズは終わりを迎えるのか?――「Xperia Z4」で感じた“疑問と期待”
- →スペックで比較――「Xperia Z4」はココが進化した
- →「Zシリーズの命題に答える完成形だ」――ソニーモバイルが「Xperia Z4」で見せる自信
- →「Xperia Z4」を写真で速攻チェック!――Z3との違いや新機能は?
- →Xperia Zシリーズの完成形に――ソニーモバイルが「Xperia Z4」を発表
KDDIの展示会場で、このZ4に関するデモを見て筆者は驚いた。最初に見たのは「Xperia Z4 Tablet」によるもの。濡らした画面に、なめらかな虹色の線が描いてあった。その場にいたスタッフは「ぬれた手で触っていることが判断できるようになりました。指が濡れていると判断したら、なぞっても線がとぎれないようになったんですよ」と説明した。筆者も試してみたところ、確かに途切れることなく線が描けた。この機能はタブレットだけでなくスマートフォンのZ4も共通とのことだ。そこでZ4でも試したら、描けるではないか。これは陣取りゲーム「Ingress」のエージェント(プレーヤーの意)が喜ぶ機能ではないかと思ったのだ。
エージェントは「雨」に悩む
すでに新聞などでも取り上げられるようになっているバーチャル陣取りゲーム「Ingress」では、ゲーム中で使用する武器などのアイテムを、陣取り対象である「ポータル」と呼ばれる場所を「ハック」することで得る。ハックとは、スキャナ(ゲームの画面の意)上で「Hack(ハック)」と書かれたボタンをタップすることだ。この「Hack(ハック)」ボタンは、対象となるポータルが半径40メートル内に入ったときのみ有効になる。Ingressはバーチャルゲームだが、奪い合うポータルは実在する場所に設定されるため、エージェントはプレイするために(アイテムを得るために)、その場まで実際に行く必要があるのだ。
1回タップすると、ポータルからさまざまなアイテムが飛び出してくるのだが、数にばらつきがあり、全体として数はさほど多くない。しかし増やすこともできる。それが「グリフハック」(以下、グリフ)と呼ばれるもの。「Hack(ハック)」ボタンを長押しすると、点の書かれた画面が現れる。ここに、ポータルのレベルに応じた数の問題が出題される。画面に表示された通りの図形を描けると、正解数と解答スピードに応じて、ボーナスアイテムが得られるのだ。最も高いレベル8のポータルでは、5つの図形に正解することで、高いレベルのアイテムを多数手に入れることができる。
しかし、ここで問題となるのが「雨」である。防水端末でも、液晶に付着した雨の飛沫(しぶき)が指の滑りを悪くするため正解率が極めて低下するのだ。たとえグリフを諦めたとしても、水滴が誤動作を誘発する場合もある。雨は、いかなるときも活動したいと願うエージェントの悩みの種なのだ。
水滴がたっぷりついていてもグリフできた!
前置きが長くなったが、虹色の落書きを見た瞬間、「これはもしや!」と思い、端末をお借りして実験してみた。
実際のグリフは、筆者の地元でお世話になっているレベル16のエージェント氏にお願いし、レベル8のポータルにて行った。実験前にスプレーでZ4の画面に水を噴霧し、雨天の状態を作り出している。
結果は大成功! こちらがそのときの映像だ。
動画に先立って筆者も試したが、ギシギシした摩擦感がまったくなく、指がスムーズに動いたのには驚いた。操作の過程でまれに大きめの水滴が形成されたときのみ、わずかに不安定さを感じることはあったが、ほとんど問題ないレベルだった。Ingress以外の端末操作も、水滴をつけた状態でまったく問題なく行えていた。ご協力いただいたエージェント氏にも感想を伺ったところ、「これは雨の日でも普通に使えそうだ」というコメントが得られた。
気になるのは、液晶保護フィルムを貼った場合。端末の機能として指先の濡れを検知しても、添付したフィルムの摩擦が強ければ指の動きは鈍ってしまうだろう。端末の性能を生かせる製品があることを期待したいところだ。
総合評価としてZ4はIngressに向いていると判断!
水はいいが、日差しはどうか? というのも外でプレーするものとしてかなり気になるところ。お借りしている間はあいにくの天候で、まばゆいまでの晴天に恵まれることはなかった。薄曇りの状態で見た感じでは、真夏にはやや暗くなりそうな印象を受けた。Z4が特別暗くなりそうというわけではなく、輝度に関してはほかの製品同様にひさしがいりそうというレベルだ。
SIMカードを入れることができなかったため、Wi-Fiテザリングのみでの使用だったが、GPSの精度については、既存のAndroid端末と大きく変わらなそう。電車の中からのハックでは、画面の切り替わりに多少粘りは感じたものの、軽快に動作してくれた。全体的には天候に関わらずIngressを楽しめる端末に仕上がっているようだ。むしろ軽く、しかも雨天時の操作に強いという点で、頭1つ抜き出ているといっていいかもしれない。
気になった点もいくつかある。アプリは単独で動かしていたが、まだ調整中のためか、輝度を最大に上げてから猛烈に動作が遅くなったり、プレイ中に背面が熱を帯びることがあった。まだ発売前の端末なので、ギリギリまで調整されることを期待したい。
ちなみに、あの水滴デモを見なければ、Z4の隠れた魅力(?)に気づかなかった可能性は高い。Ingressは端末負荷の高いアウトドアゲームゆえ、「レスポンス」「晴天時の画面視認性」「防水性能」「バッテリー持ち」「GPS精度」の5点は特に重視される。これらをもっとアピールしていただけると、一部のスマホユーザは大いに喜ぶはずだ。
関連キーワード
Xperia Z4 SO-03G | Xperia Z4 SOV31 | Xperia Z4 | Ingress | ポータル | KDDI | ソニーモバイルコミュニケーションズ | 防水 | GPS | Xperia Z4 Tablet SO-05G | Xperia Z4 Tablet SOT31 | Xperia Z4 Tablet | 64ビット | Android 5.0 | Android Wear | タッチパネル | Xperia Z3
関連記事
ソニーモバイルの“完成形Xperia”がドコモから登場――「Xperia Z4 SO-03G」
ソニーモバイルが4月に一足早く発表した「Xperia Z4」が、ドコモから発売される。基本仕様やデザインはグローバル版と同じ。おサイフケータイやフルセグが利用できるほか、POBox Plusも強化された。【画像追加】KDDIからも登場――安心して使えるハイスペックスマホ「Xperia Z4 SOV31」
Xperia Z4がauからも登場。キャップレスで防水・防じん性能を確保し、おサイフケータイやフルセグといった日本市場でニーズの高い機能にも対応する。【画像追加】キャリアロゴなし――ソフトバンクモバイルも「Xperia Z4」を発売
ドコモとKDDIに続き、ソフトバンクモバイルも「Xperia Z4」を6月中旬に発売する。基本仕様は統一されているが、外観はよりグローバル版に近い。【画像追加】Xperia Zシリーズは終わりを迎えるのか?――「Xperia Z4」で感じた“疑問と期待”
Xperia Zシリーズの完成形とうたう「Xperia Z4」が日本で今夏、発売される。今のところ海外展開は決まっていないが、その理由は? そして今後のXperiaはどうなっていくのだろうか?スペックで比較――「Xperia Z4」はココが進化した
ソニーモバイルのフラッグシップスマートフォンの最新作「Xperia Z4」が姿を現した。どこがどのように進化したのか、Xperia Zシリーズ5世代を比較してみよう。「Zシリーズの命題に答える完成形だ」――ソニーモバイルが「Xperia Z4」で見せる自信
「Xperia Z4」の発表会で連呼されたのが「完成形」という言葉。それだけに、ソニーモバイルがいかに本機に自信を持っているかがうかがえる。また、フラッグシップスマートフォンを日本で発表したのも珍しい。その理由とは――。「Xperia Z4」を写真で速攻チェック!――Z3との違いや新機能は?
ソニーモバイルの最新フラッグシップスマートフォン「Xperia Z4」が発表された。Xperia Z3との違いも含め、外観とソフトウェアの見どころをチェックしていこう。【写真追加】Xperia Zシリーズの完成形に――ソニーモバイルが「Xperia Z4」を発表
ソニーモバイルのフラッグシップスマートフォン「Xperia Z4」がついに姿を現した。Xperia Z3からさらに薄く、軽くなりながら、カメラ、オーディオ、基本性能を強化した。2015年夏以降に発売する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.