好調を維持する「FREETEL SIM」 安定感のある「楽天モバイル」――「格安SIM」19サービスの実効速度を比較(ドコモ回線8月編):通信速度定点観測(2/2 ページ)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。2015年7月から続けている本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。今回は2016年8月のドコモ回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。
平日夕方:下りは再びFREETEL SIMがトップに 他のMVNOはおおむね厳しいか
最後に、夕方の時間帯の計測を行った。18時頃は、ランチタイムほどではないが通信速度が低下しやすい時間帯だ。定時であればちょうど終業の時間という職場も多く、メールやSNSのチェックなどなど、スマホや携帯電話を使う人が増えるであろう。そんな時間帯の計測結果はどうだろうか。
下りの1位は午前中と同じくFREETEL SIM(11.3Mbps)となった。夕方の時間帯にこれだけの速度が出るのは立派といえるだろう。FREETEL SIMに続くのは平均8.2Mbpsの純正mopera U。少し間を開けて第3位には平均3.2Mbpsの楽天モバイルが入った。楽天モバイルは、ランチタイムも比較的良好な結果だった。混雑時間帯に焦点を当ててチューニングを行っているのだろうか。
下り平均速度で1Mbps未満となったのはロケットモバイル(0.9Mbps)、「OCN モバイル ONE」(0.8Mbps)、0 SIMとU-mobile PREMIUM(ともに0.2Mbps)の4サービス。0 SIMについては、3回の計測を通して下りの通信速度が振わない結果となってしまった。
データ専用プランだと0円(無料)から維持できるということで話題となった0 SIMだが、それが通信の快適性維持という面ではあだになってしまっているのかもしれない。U-mobile PREMIUMは、容量上限のない“使い放題”であることが特徴だ。混雑時に下り通信速度が大きく落ち込むのは、その特徴が裏目に出た結果ともいえそうだ。
OCN モバイル ONEも、混雑時間帯に厳しい結果が続いている。MVNOサービスとしては比較的ユーザー数が多いことが原因だろうが、何とか改善してもらいたい。
一方、上りの平均通信速度はU-mobile PREMIUMが12.1Mbpsでトップを飾った。2位の「Wonderlink(LTE I)」が5.4Mbpsであることを考えるとダントツだ。とはいえ一番低い「mineo(Dプラン)」でも2.1Mbpsは出ているので実用上は問題ない。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 18:00 | 2.2 | 2.9 |
OCNモバイルONE | 18:04 | 0.8 | 3.5 |
BIGLOBE LTE・3G | 18:08 | 1.6 | 4.9 |
b-mobile(おかわりSIM) | 18:10 | 2 | 4.1 |
So-net モバイルLTE | 18:16 | 1.1 | 5.1 |
楽天モバイル | 18:19 | 3.2 | 3.5 |
NifMo | 18:00 | 1 | 4 |
FREETEL SIM | 18:05 | 11.3 | 7 |
ロケットモバイル | 18:08 | 0.9 | 4.1 |
U-mobile PREMIUM | 18:11 | 0.2 | 12.1 |
DMM mobile | 18:14 | 2.2 | 3.3 |
Wonderlink(LTE I) | 18:17 | 2.7 | 5.4 |
Wonderlink(LTE F) | 18:00 | 2 | 2.6 |
mineo(Dプラン) | 18:03 | 1 | 2.2 |
DTI SIM | 18:06 | 1.4 | 4.8 |
0 SIM | 18:08 | 0.2 | 3 |
イオンモバイル | 18:12 | 2.4 | 3.9 |
エキサイトモバイル | 18:16 | 2.4 | 2.5 |
ドコモ(mopera U) | 18:19 | 8.6 | 2.1 |
まとめ
8月の計測結果を振り返ると、MVNOサービスの中ではFREETEL SIMの好調さが印象的だった。また、楽天モバイルやWonderlink(LTE F)も混雑時間帯の下り通信速度をある程度維持している。この時間帯でもしっかりと速度を確保できれば、「速度」よりも「安定性」を重視するユーザーの大きな受け皿になれるだろう。
DTI SIMは、よくよく見てみると時間帯を問わず下り通信速度がほぼ一定していることに注目したい。筆者の推測でしかないが、通信の負荷が高止まりすることを防ぐためにあえて速度を一定にするような制御をかけているのかもしれない。そう考えると0 SIMにおける先述の「あだ」も、同様の意図によるものとも思える。
ともあれ、通信速度はある程度速ければ快適性には間違いなくプラスとなるので、各サービスともに切磋琢磨(せっさたくま)して向上に努めてほしいところだ。
各サービスの傾向をまとめると以下の通り。
- IIJmio……午前中と夕方は良好、昼は頑張りたい
- OCNモバイルONE……混雑時間帯の下り速度に課題
- BIGLOBE LTE・3G……午前中は良好も昼に課題
- b-mobile(おかわりSIM)……混雑時間帯も比較的堅調に推移
- So-net モバイルLTE……混雑時間帯の下りはあと一歩
- 楽天モバイル……混雑時間帯も良好
- NifMo……昼の下りに課題、午前中と夕方は問題なし
- FREETEL SIM……混雑時間帯も快適
- ロケットモバイル……午前中は絶好調も混雑時間帯に弱い
- U-mobile PREMIUM……夕方の上りは絶好調も混雑時間帯の下りは厳しい
- DMM mobile……昼さえ改善すれば底堅さを手に入れられる
- Wonderlink(LTE I)……午前中と夕方は良好、昼は頑張りたい
- Wonderlink(LTE F)……混雑時間帯の下りで頑張りを見せる
- mineo(Dプラン)……混雑時間帯の下りがまだ弱い
- DTI SIM……下り速度は抑え気味だが安定している
- 0 SIM……1日を通して下り通信速度に課題
- イオンモバイル……午前中と夕方は良好、昼は頑張りたい
- エキサイトモバイル……午前中と夕方は良好、昼は頑張りたい
- ドコモ(mopera U)……混雑時間帯も安定
今回の測定結果はあくまで参考データの1つとして役立てていただき、他のさまざまな情報も踏まえて、より良いMVNOサービスを選んでほしい。
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