「Google Home」と「Clova WAVE」は何が違う? 2社の戦略を読み解く:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
スマートスピーカー「Google Home」と「Clova WAVE」が発表された。そもそもスマートスピーカーとは? また2製品は何が違うのか? 各社の戦略を読み解いていく。
日本の環境に合わせた点が強みのClova WAVE
音声でできることや、パートナー、販路の開拓ではGoogleのリードを許しているように見えるが、Clova WAVEの強みは「日本の住環境、ユーザーの状況をわれわれが最適に捉えている」(舛田氏)ところにある。
その1つが、赤外線に対応していること。「日本では、Wi-FiやBluetoothを使って家電をコントロールする環境が整っていない」(舛田氏)との理由から、Clova WAVEには赤外線センサーを搭載しており、これを家電のリモコンとして利用できる。対応する家電製品を一から買いそろえなければならない他のスマートスピーカーと比べ、現時点での実用性は高いといえるだろう。
もちろん、日本ではデファクトスタンダードになったLINEに対応しているのも、Clova WAVEの強みだ。リビングなどに置き、家族で使うことを考慮し、LINEはClova WAVEに合わせて新たに家族アカウントを用意。このアカウントから、家族にLINEでメッセージを送ったり、逆に送られてきたメッセージを読み上げさせたりといったことができる。
LINEが展開している各種コンテンツサービスに対応しているのも、Clova WAVEの魅力だ。楽曲数が豊富なLINE MUSICを再生できるほか、ニュースの読み上げにはLINE NEWSを活用。音声認識についても、「年内に大幅なアップデートを予定している」(舛田氏)という。
一方で、パートナーの参画は、現在準備中。「サードパーティー向けにSDKを開放するということも、プラットフォームを含めて準備している」(舛田氏)最中で、コンテンツとサービスの量ではAlexaやGoogle Homeと比べると見劣りする。現状ではネット販売のみのため、Google Homeのように、家電量販店やキャリアショップでの取り扱いにも期待したいところだ。
もっとも、スマートスピーカーは「まだ始まったばかりの市場」(徳生氏)。米国では検索クエリの「20%ほどが音声になっているが、日本はそこまでいっていない」(同)というように、日本は音声を使ったインタフェースに慣れ親しんでいない市場だ。
舛田氏は「疑心暗鬼なところもあるかもしれないが、さまざまな環境にこういったものが出てくる。足し合わせれば、スマートフォンより大きな市場になる」と意気込むが、少なくとも1年、2年で誰もが使うようなデバイスになるとは考えにくい。徳生氏が「使っていると分かるが、文字で入力するより圧倒的に速い。そういったことが徐々に知られていけば、今後の普及につながると思う」と述べていたように、競合とのシェア争い以前に、スマートスピーカー自体の魅力を、ユーザーに認知させていく必要がありそうだ。
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