“arcを超えるボディ”に復活させたアーク形状――「Xperia GX」が描く新しい世界:開発陣に聞く「Xperia GX SO-04D」(前編)(2/2 ページ)
7月の発売予定からやや遅れ、ついに発売された「Xperia GX SO-04D」。日本向けXperiaシリーズとして待望のLTEに対応し、OSもAndroid 4.0に進化した。GXはこれまでのXperiaとは何が違うのか。なぜアーク形状を復活させたのか。ソニーモバイルの開発陣に話を聞いた。
内側から感じられる美しさをWhiteとBlackで表現
表がグロス、裏がマットというツートーンの仕様はWhiteとBlackどちらも同じだが、裏面の塗装は、それぞれの色を引き立たせるために変えているという。金田氏はXperia NXから引き続きデザインを担当したが、同じくWhiteとBlackをラインアップしたNXとも塗装の手法は異なるという。「NXのデザインではマイナスの作業をして、カラーも媚びないようにソリッドなホワイトとブラックをあえて選びました。(GXのような)パールやメタリックなフレームは入れていません。GXは形状が柔らかくNXとは裏面の表情が違うので、内側から醸し出される美しさを表現しようと考えました」と金田氏は説明する。
Xperia GXには裏面にパールを入れているが、一見して分かるほどには強調していない。「あえて奥の層に入れることで、内側から出てくる輝き、くぐもり、温かさを表現しました。パールの入れ方で見栄えも変わるので、何種類もパールの量やツヤの加減を作ってベストなところを探しました」と金田氏は説明する。Whiteは粒子自体は見えず、陰影をつける形で表現しており、暖色系の要素も加えられている。したがって同じ白でも、純白を目指したXperia NXとは印象が大きく異なる。ただ、NXと同じくGXでも「光と影に注目し、形状の美しさを最大限に出すというコンセプトは変わっていません」と金田氏。Blackには、より洗練された印象を与えるために青いパールを入れたという。
色味は違うものの、WhiteとBlackというカラー自体はNXから変えていない。色の選定について金田氏は「いろんな色を検討しましたが、白と黒はフラッグシップとしては王道で、Xperiaとしてこれだ!と出せる色です」と話す。スマートフォンではシルバーも王道色の1つだが、側面のフレームもシルバーのため、今回は見送った。実は、このフレームの色もWhiteとBlackで異なるという。「Whiteには明るいシルバー、Blackにはトーンダウンした暗めのシルバーをフレームに使っています」と金田氏。部品の色を変えることはコスト増につながるが、色のバランスにこだわった。「WhiteのフレームをBlackに入れると、フレームがぎらっと輝いて浮いてしまいます。Blackの世界観の中で主張しすぎず、でも上品に光るよう調整しました」(金田氏)
後編ではLTE対応へのこだわり、バッテリーの持ち、物理キーの有無、Walkmanアプリ、カメラ機能の今後などについて聞いた。
まもなく消える?“ソニエリ”のコーポレートロゴ
ソニー・エリクソンの端末でおなじみなのが、緑色の球体で表現されたコーポレートロゴ。このロゴはSony Ericssonが「s」と「e」で表現されているので、ソニーの完全子会社であるソニーモバイルとなった現在、実質的にはコーポレートロゴではなくなっている。ただ、Xperia GX/SXにも同ロゴがまだ入っているので、Xperiaの象徴として今後も残るのか……と思いきや、「ロゴは時期を見てなくなる予定」(ソニーモバイル広報部)だという。このロゴがデザインのアクセントにもなっていたので、少々残念な気もする。GX/SXが最後のロゴ入りモデルになるかは分からないそうだが、GX/SXは、SONYロゴとSony Ericssonのコーポレートロゴが同居した貴重な(?)モデルになりそうだ。
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