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第5回 持ち心地に優れたモデルは?――Android 28機種を採点最新スマートフォン徹底比較(2012年夏モデル編)

スマートフォンの持ち心地はスペックからは計れないが、毎日手にすることを考えると軽視できない項目だ。そこで今回は、各社の夏モデルを手にして、丸み、細さ、薄さ、軽さ、片手での操作性を検証した。

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 スマートフォンを購入する際の判断材料の1つとして、サイズ、重さ、バッテリー容量、メモリ容量、対応サービスなどのスペックが重要になる。こうしたスペックはカタログから分かるが、「持ち心地」は実際に触れないと分からない。特にスマートフォン(携帯電話)は毎日手にするものなので、持ち心地が悪いと満足感が下がってしまう。そこで今回は、夏モデル27機種と「GALAXY Note SC-05D」を含めた28機種の持ち心地を、筆者の独断と偏見で採点した。こうした感覚的なものは個人差があり、持ち心地は手の大きさによっても変わってくるだろうが、何かの参考になれば幸いだ。

photophoto 左上からドコモの「F-09D ANTEPRIMA」「ARROWS X F-10D」「ARROWS Me F-11D」「らくらくスマートフォン F-12D」「Optimus it L-05D」「Optimus Vu L-06D」「MEDIAS X N-07D」「ELUGA V P-06D」「ELUGA power P-07D」「GALAXY S III SC-06D」「AQUOS PHONE st SH-07D」「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」「AQUOS PHONE sv SH-10D」「Xperia GX SO-04D」「Xperia SX SO-05D」「REGZA Phone T-02D」(写真=左)。左上からauの「ARROWS Z ISW13F」「HTC J ISW13HT」「URBANO PROGRESSO」「AQUOS PHONE SL IS15SH」「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」「AQUOS PHONE CL IS17SH」(写真=右)
photophoto 左からソフトバンクの「ARROWS A 101F」「AQUOS PHONE Xx 106SH」「PANTONE 5 107SH」、ウィルコムの「DIGNO DUAL WX04K」(写真=左)。イー・モバイルの「GS03」(写真=右)

 スペックに現れない項目として筆者が特に重視しているのが、「いかに丸みを帯びているか」だ。ボディが角張っていると、角が手に当たって持ちにくいが、丸みを帯びていれば手になじんで違和感なく持てる。とはいえ、過度なラウンド形状にするとデザインにも影響が出るので、表面はスクエアな印象を与えつつ、裏側だけ丸みを強調しているモデルもある。また、サイズと重さは数値を見れば分かるが、今回はあえて数値を気にせず、細さ、薄さ、軽さを直感的に評価した。電車の中など外出先でスマホを使うことが多い人にとっては、片手で操作しやすいかも気になると思うので、こちらもチェックした。短時間ではあるが、ホーム画面のページをフリックし続けて指が疲れないか、片手で上部の通知バーをスムーズに呼び出せるか、文字を快適に入力できるかなどを試した。

 詳細な評価内容は、下に掲載している表を見てほしい。5項目中、◎4つと○1つの高い評価を記録したのが「F-09D ANTEPRIMA」「ARROWS Me F-11D」「PANTONE 5 107SH」だ。3機種とも幅60ミリ前後と細く、ボディは全体的に丸みが強調されていて持ちやすい。その分デザインはコロンとした、かわいらしい印象を受ける。これら3機種は、どちらかというと初めてスマートフォンを使う層を狙ったモデルなので、親しみの持てる外観を目指したものと思われる。幅54ミリの「Xperia SX SO-05D」は、この中では最も細いが、もう少し丸みがほしかった。

 持ちやすさはどうしても小型モデルが有利になってしまうが、4.3インチディスプレイを備える“中型”のモデルで光ったのが「MEDIAS X N-07D」と「HTC J ISW13HT」だ。1年前に発売された「MEDIAS WP N-06C」は、当時としては画期的な7.9ミリという薄さを実現したが、角があまり削がれておらず持ちにくかった。だがMEDIAS XはMEDIAS WPより0.1ミリ薄い7.8ミリを実現しながら、しっかりと角が削がれており手にフィットする。HTC Jは全体的に丸みが強調されていてフィット感が抜群。幅も66ミリとギリギリまで抑えられているので片手でも操作しやすい。同じく4.3インチディスプレイを備える「GS03」は、軽くて持ちやすいが、もう少し丸みが欲しかった。

 4.3インチより大きなディスプレイを備えたモデル……となると、やはり持ちやすさや片手での操作性が犠牲になっているものが多い。GALAXY Noteと「GALAXY S III SC-06D」は、手のフィット感は抜群に良いが、片手で操作を続けると指が疲れてしまう。「たまに両手も必要」と割り切った方がいいだろう。一方、GALAXY Noteと近いコンセプトで5インチディスプレイを搭載した「Optimus Vu L-06D」は、アスペクト比がGALAXY Noteの16:10に対して4:3と正方形に近く、幅はGALAXY Noteの83ミリよりもさらに太い90ミリ。片手で持つことはできるが、持ちながら片手で操作をするにはちょっとしたコツがいる。スマートフォンは“握って”操作をするのが普通だろうが、Optimus Vuは完全に握らず、裏面に(片方の)指を“添える”形にすれば、親指の可動範囲が広くなり、片手でブラウジングや文字入力も可能だ(テンキーを左右に寄せることもできる)。とはいえ、常時手を添えたままだと本体を落としやすくなるので、適時両手と使い分けて操作する方がいいだろう。

 「ELUGA power P-07D」も5インチディスプレイを備えているが、こちらはアスペクト比が16:9、幅は70ミリ(GALAXY S IIIより1ミリ細い)なので、頑張れば片手で操作し続けることも可能だ。ただ、ELUGA powerは表面の角が尖っており、持ったときに手に当たるのが気になった。「ELUGA V P-06D」は角が十分に削がれていて持ちやすかった。

 2011年冬モデルでは高いスペックとスリムで軽いボディを両立させたARROWS XとARROWS Zだったが、夏モデルの「ARROWS X F-10D」「ARROWS Z ISW13F」ではクアッドコアCPUや指紋センサー搭載など、さらにスペックアップしたためか、ボディは大柄で重くなってしまった。裏側が丸くフィット感は良好なのだが、やはりサイズ感や重さが気になってしまう。「REGZA Phone T-02D」と「ARROWS A 101F」の外観はほぼ同じ。全体的に操作しやすかったが、4隅の角があまり削がれていないのが気になった。

 今回評価した持ち心地とはやや意味合いが異なるが、「質感」で印象に残ったのが「Xperia GX SO-04D」だ。検証用に使用したカラーはWhiteだが、単なるマットな塗装とはひと味違う。マットでありながらも、つるつる、すべすべした滑らかさを感じられる。奥の層にパールを入れることで陰影が付き、色に深みも与えている。ディスプレイの大型化に伴い、やや幅が広がってしまったのが残念だが、見て、触って飽きないデザインと質感に仕上がったと感じた。

 シャープのAQUOS PHONEは、同社の夏モデルで最高スペックを誇る「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」と「AQUOS PHONE Xx 106SH」も、ボディの大きさや重さが気になった。一方、これら2機種よりはやや液晶サイズが小さいが、「AQUOS PHONE sv SH-10D」と「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」の方が全体的に持ちやすいと感じた。SERIEは外周に溝があるのもフィット感に貢献している。

 今回の夏モデルに触れて、片手で快適に操作できるかどうかは「4.3インチ」の画面サイズがボーダーラインになるのではと思った。4.3インチディスプレイを搭載する機種の幅はだいたい65ミリ前後。できれば60ミリ前後がいいが、画面サイズとのバランスを考えるとなかなか難しい。4.3インチなら大きすぎず、小さすぎず、絶妙なサイズと言える。中でも評価したいのがMEDIAS X。夏モデル27機種の中で最薄を実現しながら、しっかりとラウンド形状を取り入れたのは見事。4.3インチという画面サイズ、薄さ、軽さも含めた全体的なバランスを考慮して、持ち心地においてはMEDIAS Xを特に強く推したい。

photophotophoto 左からF-09D、ARROWS X、ARROWS Me
photophotophoto 左かららくらくスマートフォン、Optimus it、Optimus Vu
photophotophoto 左からMEDIAS X、ELUGA V、ELUGA power
photophotophoto 左からGALAXY Note、GALAXY S III、AQUOS PHONE st
photophotophoto 左からAQUOS PHONE ZETA、AQUOS PHONE sv、Xperia GX
photophotophoto 左からXperia SX、REGZA Phone、ARROWS Z
photophotophoto 左からHTC J、URBANO PROGRESSO、AQUOS PHONE SL
photophotophoto 左からAQUOS PHONE SERIE、AQUOS PHONE CL、ARROWS A
photophoto 左からAQUOS PHONE Xx、PANTONE 5
photophoto 左からDIGNO DUAL、GS03
photophotophoto 左からF-09D、ARROWS X、ARROWS Me
photophotophoto 左かららくらくスマートフォン、Optimus it、Optimus Vu
photophotophoto 左からMEDIAS X、ELUGA V、ELUGA power
photophotophoto 左からGALAXY Note、GALAXY S III、AQUOS PHONE st
photophotophoto 左からAQUOS PHONE ZETA、AQUOS PHONE sv、Xperia GX
photophotophoto 左からXperia SX、REGZA Phone、ARROWS Z
photophotophoto 左からHTC J、URBANO PROGRESSO、AQUOS PHONE SL
photophotophoto 左からAQUOS PHONE SERIE、AQUOS PHONE CL、ARROWS A
photophoto 左からAQUOS PHONE Xx、PANTONE 5
photophoto 左からDIGNO DUAL、GS03
photophotophotophoto GALAXY Note(写真=左端、左中)とOptimus Vu/L-06D JOJO(写真=右中、右端)では、テンキーを左右に寄せることができる。これなら片手でも操作しやすい
photophotophoto Optimus Vu/L-06D JOJOは端末を握ったままだと親指の可動範囲が狭いが(写真=左)、裏面に4本の指を軽く添えた持ち方(写真=中)なら、親指の可動範囲が広くなって片手で操作しやすくなる(写真=右)
photophoto 左からGALAXY NoteとOptimus Vu。GALAXY Noteの方が縦長だ(写真=左)。ELUGA powerは表面の角が尖っている。裏側は丸いが、持ち方によっては表面の角が手に当たるので気になる(写真=右)
持ち心地
NTTドコモ
丸み 細さ 薄さ 軽さ 片手操作 寸評
F-09D ANTEPRIMA 大きすぎず、小さすぎず、サイズ感が絶妙。片手操作にちょうどよい大きさ。持ち心地も良い。
ARROWS X F-10D 他の機種に比べるとボディは重量感がある。裏側の角が削がれているので、持ちやすさは問題ない。
ARROWS Me F-11D 全体的に角が削がれているので持ちやすい。画面サイズと片手操作のバランスが良い。
らくらくスマートフォン F-12D ボディは全体的に丸くて持ちやすい。アイコンが大きくて押しやすいのも片手操作のしやすさに貢献している。
Optimus it L-05D 裏側面のラインにもう少し丸みが欲しい。裏側下部がやや厚くなっているのも少し気になる。
Optimus Vu L-06D × × 角張った印象があるが、裏側は丸みを帯びているので持ちやすい。角が手に当たるのは気になる。握るのではなく裏側に手を添える形なら、文字入力やスクロールなども片手で操作できる。
MEDIAS x N-07D 薄くて軽いだけでなく、裏面の角が削がれており、持ちやすさにも配慮されている。
ELUGA V P-06D 裏面の角が丸いので手に実になじむ。ボディは程よい軽さだ。
ELUGA power P-07D 表面の角が尖っており、手にしたときに少し当たるのが気になる。頑張れば片手操作も行ける。
GALAXY Note SC-05D 四隅も丸いので手にフィットする。手の大きさにもよるが、頑張ればホールドできる。片手用のキーパッドが用意されているので文字入力は問題なし。
GALAXY S III SC-06D 手のフィット感は抜群だが、幅が広いので、片手操作だと指がやや疲れる。
AQUOS PHONE st SH-07D 手にすっぽり収まるサイズ感は大きな魅力。左手で持つと、左下のストラップホールが当たるのがやや気になる。
AQUOS PHONE ZETA SH-09D ボディはやや大柄だが、裏面の角が絶妙に削がれているので手にフィットする。片手での操作性も違和感なし。
AQUOS PHONE sv SH-10D 角を落としたポリゴンシェルデザインは手にやさしい。画面が0.2インチ小さい分、SH-09Dよりは片手操作しやすい。
Xperia GX SO-04D マットとグロスの中間点にあるような独特の質感に愛着が持てる。幅がやや広いのが難点か。
Xperia SX SO-05D 小さくて持ちやすく、片手での操作性は申し分なし。文字入力も、思ったほど難なく行える。
REGZA Phone T-02D 程よい大きさで持ちやすいが、四隅が角張っていて手に当たるのがやや気になった。ディスプレイ下のキーの押し心地が良い。
au
丸み 細さ 薄さ 軽さ 片手操作 寸評
ARROWS Z ISW13F 前モデル「ARROWS Z ISW11F」よりも大型化してしまったのは残念。角が削がれているのでフィット感は抜群。
HTC J ISW13HT 幅が細くボディも適度な大きさなので片手でも操作しやすい。カーブを強調した丸いボディにも愛着がわく。
URBANO PROGRESSO ザラザラしたボディは滑り止め効果があるが、個人的には手になじみにくい印象も。片手操作は非常に快適。
AQUOS PHONE SL IS15SH 小型なので片手でも持ちやすいが、やはりキーボードがある分重い。
AQUOS PHONE SERIE ISW16SH 外周に溝があるので指がかかって持ちやすい。4隅をもう少し丸くしてほしかった。
AQUOS PHONE CL IS17SH 薄くてラウンド感もしっかりしているので持ちやすい。カメラ部分が出っ張っているためか、やや重量バランスが悪い感も。
ソフトバンク
丸み 細さ 薄さ 軽さ 片手操作 寸評
ARROWS A 101F 程よい大きさで持ちやすいが、四隅が角張っていて手に当たるのがやや気になった。ディスプレイ下のキーの押し心地が良い。
AQUOS PHONE Xx 106SH 画面は大きいが、片手での操作性はそれほど違和感はない。4隅の角が手に当たるのがやや気になった。
PANTONE 5 107SH コロンとした丸いボディは非常に持ちやすい。スマホをカジュアルに使いたい人にぴったり。
ウィルコム
丸み 細さ 薄さ 軽さ 片手操作 寸評
DIGNO DUAL WX04K ボディが厚くやや重いのが気になるが、裏は丸みを帯びているのでフィット感は良好。
イー・モバイル
丸み 細さ 薄さ 軽さ 片手操作 寸評
GS03 薄くて軽いのは大きなメリットだが、4隅がやや角張っているのが気になった。

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