ショップの効率化を目指すドコモ/Googleのマルチデバイス調査で見えたもの/初音ミクARライブの狙い:石野純也のMobile Eye(7月8日〜19日)(2/3 ページ)
今週は新製品発表などの大きなニュースは少なかったが、重要な施策や調査が発表された。今回はドコモの顧客接点の拡大に向けた取り組み、Googleのマルチデバイスに関する調査結果、ドコモが六本木ヒルズのメトロハットで21日まで開催しているARイベント「HATUNE MIKU AR STAGE」を取り上げる。
スマートフォンがオンライン行動の起点に――Googleの調査で分かったデバイスの利用動向
スマートフォンで情報を調べ、それを起点にPCでそれを深掘りしていく――。Googleが18日に発表した調査で、このようなユーザーの行動が明らかになった。調査は1月、2月に行い、スマートフォン、PC、テレビを利用する18歳から64歳までのユーザーを対象にした。
Google 広告ソリューション推進本部 丹下智貴氏によると、この調査から得られた結果は2つのパターンがあるという。1つ目が冒頭で挙げたような使い方で、Googleではこれを「引継利用」と定義。「スマートフォンで外に出ているときに気になるブランドや欲しいものを検索して、実際に家に帰って同じものの情報収集をする」(同)といった行動が、これに当たる。調査では87%のユーザーが、複数のスクリーンを引き継いで利用していることが分かった。
同様の調査は米国でも行われたが、「驚くほど似た傾向が出ている」(Google プロダクトマーケティング 小澤未生氏)という。ただし、「唯一数字が若干高めに出ているのが、スマートフォンを起点にしているところ」(同)で、米国が50〜60%程度だったのに対し、日本は70%を超えているという。こうした結果からは、モバイルがインターネットをけん引してきた日本ならではの事情がうかがえる。Googleの調査結果によると、ユーザーの71%が検索をスマートフォンで始め、そのうちの68%がPCに引き継いでさらに深い情報を調べるという。Webサイトの閲覧や、ショッピング、旅行の計画などでも、同様の傾向が見られる。
調査で明らかになったもう1つのパターンが「同時利用」だ。これは、「テレビを見ながらメールを見る、テレビを見ながらタブレットでゲームをする」(丹下氏)といった使い方を指す。丹下氏によると、スマートフォンとテレビの同時利用が72%、スマートフォンとPCが57%、テレビとPCが54%、テレビとタブレットが38%で、全体的にテレビとスマートデバイスの組み合わせに高い数値が出ているようだ。
このように、スマートフォンとPCやテレビを組み合わせて利用するという使い方は、日本でも一般的になりつつある。ただし、タブレットについては、まだ普及の途上にある。実際、引継利用の結果を見ると、タブレットの利用率は1ケタにとどまっている。こうした数値は「普及台数が低いため」(小澤氏)で、米国でも同様の傾向があるという。
また、調査結果の読み解き方には注意も必要だ。調査はスマートフォンを持っているユーザーに限定して行われている。日本ではスマートフォンの普及率がまだ50%を超えておらず、過半数を超えるフィーチャーフォンユーザーの動向がデータには含まれていない。そのため、このデータだけで日本全体のトレンドを説明できるわけではない。とはいえ、スマートフォン、PC、タブレットといった複数の端末を使い分けるスタイルは徐々に一般的になりつつある。今後、こうしたユーザーのニーズに応える端末やサービスが増えていくことは期待できそうだ。
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