2年越しの情熱――ASUSが「ZenFone Zoom」に込めた粋
発表から約1年経過して日本でも登場するASUSの「ZenFone Zoom」。台湾から来日したジョニー・シー会長は、情熱的にZenFone Zoomに込めた粋を語った。
ASUS JAPANは1月25日、光学3倍ズームを備えるAndroidスマートフォン「ZenFone Zoom」の日本発売を発表した。本革製の背面カバーを持つ「プレミアムレザーカバーモデル」を2月5日、プラスチック製の背面カバーを持つ「スタンダードカバーモデル」を2月中旬以降に発売する予定だ。
同日、同社は都内で本製品の発表会「See The World Up Close 〜まだ見ぬ彼方にZoomしよう〜」を開催した。ASUSTek Computer(ASUS)のジョニー・シー会長らが登壇し、ZenFone Zoomの魅力を語った。また、ZenFone Zoomにプロセッサを供給するインテルの江田麻季子社長と、レンズユニットを供給するHOYAのDCM SBU長の神原稔氏もあいさつに駆けつけた。
ZenFoneシリーズの全世界累計販売台数は2800万台
スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2015にノミネートされた「ZenFone 2」を始めとして、ASUSのSIMロックフリースマホは日本でも人気だ。ZenFoneシリーズは、「ワンランク上のぜいたくを、誰にでも楽しめる」(シー会長)ことを重視していることが世界市場でも評価され、2014年6月からの累計販売台数が2800万台を超えたという。
また、日本では2年連続でSIMロックフリースマホでの売上第1位を達成し、「BCN AWARD 2016」で新設されたSIMフリースマートフォン部門で最優秀賞を獲得した。シー会長は、発表会の場を借りて、日本語で「ありがとうございました」と日本のユーザーたちに感謝の意を示した。その上で、「今年(2016年)もよろしくお願いいたします」と、2016年も魅力的なZenFoneを日本のユーザーに届ける意思を示した。
開発に2年かかった「ZenFone Zoom」
発表会の主役であるZenFone Zoomは、ASUSにとって「2年間の成果物」であり、「たゆまぬ努力と、粘り強さの成果」だ。その特徴は「工芸美」「タカの目(イーグル・アイ)」「性能怪獣(パフォーマンス・モンスター)」の3つのキーワードで説明できる。
工芸美:201の作業手順を経て誕生
シー会長が「時代を超越した美しさ」と表現するZenFone Zoomのボディは、201もの精巧な作業手順を経て完成したという。メタル(金属)素材とアンテナ部をつなぎ目なく成形する「ナノ・モールディング・テクノロジー」、カメラユニットを守るために採用された航空機のボディ素材と同等のアルミニウム合金、手触りをよくするための超微細サンドブラスト処理、丈夫さを増しつつ色合いをよくするためのアルマイト処理、ダイヤモンドカットによるメタルエッジラインなど、ASUSの持つ技術力を結集して作られている。プレミアムレザーカバーについては、特に本革の上質な部分をイタリアの本革加工職人の技を使って作っている。
このようなデザイン上のこだわりが認められ、ZenFone Zoomは2015年度のグッドデザイン賞を受賞した。
「伝統と革新のパーフェクトなバランスを保っている」(シー会長)というZenFone Zoomは、全モデルに本革製のストラップを同梱している。本体がいくら丈夫だからといって、スマホを落とすと傷が付く可能性はある。そこで、ZenFone Zoomでは、本体落下を防ぐための心遣いとして、本体色に合わせた本革ストラップを1つ同梱している。
イーグル・アイ:厚みを抑えて光学3倍ズームを実現したカメラ
ZenFone Zoomの最大の特色である光学3倍ズームに対応するアウトカメラは、HOYA製のレンズユニットとパナソニック製センサーの組み合わせで実現している。
「不完全を許容しない」(シー会長)日本の技術力が生み出したレンズユニットは8枚のレンズと2枚のプリズムを組み合わせた10層構造で、光学式手ブレ補正にも対応している。このレンズユニットによって、ZenFon Zoomは本体の厚みを最厚部でも11.95ミリに抑えることができた。一眼レフカメラでも使われる超小型のデュアルステッピングモーターを使うことで、ズーム操作もスムーズになっている。
また、カメラとしての使い勝手を高めるために、本体側面にはズームキー(ボリュームキーと兼用)、シャッターキー、録画キーを備えている。また、レーザーオートフォーカス、デュアルLED・デュアルトーンライトなどを備えており、究極の写真体験を味わえるという。
シー会長は「iPhone 6s Plus」のアウトカメラで撮影した写真と比較しつつ、光学ズームを搭載していることの利点もアピールした。
性能怪獣:PC並みのプロセッサで高速処理を実現 メモリは全機種4GBに
ZenFone Zoomは、ストレージが32GB・64GBのモデルは、Intel Atom Z3580(2.33GHz/4コア)を、128GBのモデルはIntel Atom Z3590(2.5GHz/4コア)をプロセッサとして採用している。両プロセッサともに4コア構成だが、「スマートフォンで主流の(ARMアーキテクチャの)8コアプロセッサの3倍以上のパフォーマンスを出すことができる」(シー会長)という。また、プロセッサに内包しているGPU「PowerVR 6430」も、ARMアーキテクチャのプロセッサが内包するものより2倍以上の高い描画パフォーマンスを有しているとして、Intelプロセッサを採用した優位性をアピールした。
また、発表会では直接触れられなかったが、ZenFone Zoomは全機種ともにメインメモリが4GBとなっている。これは、カメラ機能を含めて、全ての機能をより快適に使えるようにするための配慮とのことだ。
カメラはもちろん、プロセッサもパワフルとなると、バッテリー持ちが心配になる。その点については、3000mAhの大容量バッテリーのものを採用した上で、約39分で0%から60%まで充電できる超急速充電技術「BoostMaster」に対応することで不安を低減している。
スマホの画面は、落下で割ってしまったり、何かと接触して傷付いたりすることもある。そこで、ZenFone Zoomの画面には、Corningの耐衝撃ガラス「Gorilla Glass 4」を採用している。アルミボディと合わせて、より頑丈で安心して使えるように配慮した結果だ
2015年1月に発表されてから約1年。ようやく日本でもZenFone Zoomが登場する。一見すると普通のスマホより厚みはあるが、光学3倍ズームを組み込んでいることを考えると、この“薄さ”は素直に驚きだ。筆者は以前、光学3倍ズーム機構を組み込んだフィーチャーフォンを2機種持っていたが、その半分以下の厚みで、しかもズームがよりスムーズになっていることは非常に感慨深い。
皆さんも、ぜひ実機をみかけたら手に取ってみてほしい。
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