小寺信良のIT大作戦
Twitterのスクショ投稿が違法? 判決で示された学びと悟り(4/4 ページ)
ここから学べることは何か
判決文からはこのもめごとの経緯までは分からないが、示されたやりとりの内容と判決結果を見ると、非常にモヤッとさせられる判決ではないだろうか。本来こうした案件の情報開示請求ならば名誉毀損でやりそうなものだが、著作権で争っているところがかなり変化球である。
著作権は非常に強い権利であり、加えて内容や出来の良し悪しといった対外的評価を伴わないため、人が自分で考えて形にしたもののほとんどが著作物と認められがちだ。したがって多くの争いで著作権を持ち出す例も多く、法廷で勝てる便利アイテムみたいな使われ方になっている点は、法体系全体のバランスを壊しかねないところである。
被告側が抗告しているのであればまだ確定していないが、この判決がネット利用のあり方に一石を投じることは間違いないだろう。というのも、スクショとはすでに削除された発言も引っ張り出せるという強みがある。
一方で、発言を削除という形で意見を撤回したのであれば、それはそれで認められるべきであろう。「忘れられる権利」の創出も最近は議論が止まっているように見えるところだが、削除した発言のスクショがいつまでも貼り直されて出回るというのは、まさに「忘れられる権利」の考え方とは相反するところである。
昨今は一定時間で投稿が消えるというサービスも人気となっているが、これは消えたらもう見られないからいいのであって、スクショでいつまでも見られるのであれば、サービスを利用する意味や価値が激減する。今回の裁判で言えば、中身がモヤッとするのは筆者も同じ気持ちだが、「相手発言はリツイートで参照」「削除した発言はもう読めない」はサービスが定めたルールであり、ルール外で戦ったら誰も守れないよ、という話でもあるのだ。
この裁判からは、スクショを撮るのは証拠保全として、サービスのルール外、すなわち裁判のような場所で有効に活用する伝家の宝刀のようなものではあるが、サービス内でめったやたらに振り回すと逆に不利になる、ということは学べるのではないだろうか。
まあそれよりも、頻発するこうしたいさかいに対して抑止効果を失ったサービス上で、目を血走らせてう○この投げ合いを続けて何になるのか、ということが、今回一番大きな学びと言えるかもしれない。
※ちなみに裁判所の判決は、権利の目的とならない著作物として著作権法第十三条三に規定されている
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR