SFプロトタイピングに取り組む方法

「未来はどうなっていると思う?」 考えるコツ、あります コニカミノルタとSF作家に学ぶ方法論(2/6 ページ)

コニカミノルタが使うデザイン思考 未来の価値をどう見つける?

大橋 デザイン思考やエンビジョニングプロセスなどの手法の名前が登場していますが、どのようなものかご説明いただけますか

神谷 デザイン思考とは、ユーザーのインサイト(消費者の隠れた心理)を深掘りして、課題を設定し、アイデアを創造していくアプローチです。未来を描いているのですが、現代の課題を起点として未来を描くフォーキャスティング的なアプローチだと一般的にいわれています。

 しかしコニカミノルタのデザイン思考ではビジョンを重要視しており、プロセスの中にビジョンを意図的に含めています。「こういう世の中を作りたい」というビジョンを設定し、そこに向けて答えを出していきます。そのためフォーキャストと、未来像を基に現在すべきことを考えるバックキャストの両方のアプローチを含むデザイン思考なのが特徴です。

 またエンビジョニングプロセスは、さまざまな手法を基に開発したプロセスです。ざっくりいうと5つのステップ――「envisioning」(理想の社会像を描く)「anchoring」(理想と現実をつなぐ)「casting」(別の可能性の道筋を見通す)「facing」(現実と対峙する)「braiding」(事業構想を積み上げる)で構成されており、未来思考と現実的な思考を行ったり来たりしながら答えを導き出していきます。

photo エンビジョニングプロセスについて

大橋 具体的に、どのような場面で使うのでしょうか。

神谷 envisioning studioで行った事例の一つに「KM2080」というプロジェクトがあります。2080年の未来そのものを描くのではなく、2080年まで通用する中長期的な未来の価値を見つけるプロジェクトです。

 一般的に未来を構想するとき、フォーキャストとバックキャストの両方を使うのですが、社会で起こっている現象や、起こりかけている兆しみたいなものを基にして発想を飛ばすため、どのような立場の人がやっても似たような未来になってしまう。もしくは、特定の人が描いたパーソナルな未来になってしまうということがあります。

 つまり、フォーキャストとバックキャストの2つの視点だけでは足りないということです。

 コニカミノルタの未来の描き方で重要視しているのは、150年の歴史が培ったコニカミノルタの文化をベースにして、われわれの視点で未来を解釈し直している点にあります。

photo コニカミノルタの未来の描き方

大橋 とても興味深いお話でした。「どのような立場の人がやっても似たような未来になってしまう。もしくは、特定の人が描いたパーソナルな未来になってしまう」というのはとても理解できます。

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SFの力をビジネスに生かす「SFプロトタイピング」という手法があります。現実を取り払って“未来のイノベーション”を生み出す可能性を秘めたこの取り組みについて、実際にSFプロトタイピングを実践している筆者が紹介します。

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この記事の著者

大橋博之
大橋博之

SFプロトタイパー 大橋博之 インタビューライターとして企業などの情報発信を支援しつつ、SFプロトタイパーとして企業などにSFプロトタイピングを提供している。 徳間書店の雑誌「アニメージュ」の特派記者としてキャリアをスタート。NECの関連会社で、PR・販促とWeb制作に従事。Webメディアの編集プロダクションを経て、現在はインタビュー記事を中心に執筆している。 著書に「SF挿絵画家の時代」(本の雑誌社)/「心の流浪 挿絵画家・樺島勝一」(弦書房)、編集・執筆に「少年少女昭和SF美術館」(平凡社)/「日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑」(河出書房新社)/「大阪万博」(小学館)などがある。 https://garamon.jp.org/

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