秋田県“ラブホからバスローブ会見”、実は謝罪会見も突っ込みどころ満載だった 危機管理広報のプロが解説(1/4 ページ)
この記事は、危機管理広報・謝罪会見アナリストで「広報勉強会@イフラボ」主催の長沼史宏氏がnoteで公開予定の記事をITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
AIデータセンターの誘致を巡り、秋田県が8月6日に行った記者会見。リモートで参加した担当者の男性がバスローブのような姿で喫煙しながら対応しており、SNSで物議を醸した。後の調査で、男性はラブホテルでの不倫現場からリモートで対応していたことが発覚。県は14日付で男性を2段階の降格と停職6カ月の処分にしたと発表した。
実はこの騒動を巡り、秋田県は7日と14日と謝罪会見をそれぞれ実施していた。ただ、謝罪会見アナリストとして長年製造メーカーやIT企業の危機管理広報に携わる長沼史宏さんからすると、これらの会見──特に14日の会見は改善点が多いものだったという。以下、長沼さんによる解説(編集:ITmedia NEWS編集部 吉川大貴)。
秋田県「2度の謝罪会見」の改善点
秋田県産業労働部の職員が、オンライン会見にバスローブ姿で参加していた問題を巡り、8月14日に秋田県が開いた記者会見を視聴しました。今回の事案では、最初の説明後に新たな事実が判明し、1週間後に再び会見を開くことになった点が特徴的でした。
会見全体を見ると、職員に対して厳正に対処する姿勢が示されていたことなど、評価できる点もありました。一方で、危機管理広報の観点から見ると、会場設営、司会者の役割、登壇者の人数、事実確認、想定問答など、改善できる点も少なくありません。
謝罪会見は「1回で終わらせる」ことを目指す
今回、最も大きな教訓だと感じたのが、この点です。秋田県は、最初の会見から1週間後に、再び会見を開くことになりました。最初の会見を早期に開いたこと自体は評価できます。しかし、その後、当事者の説明が事実と異なっていたことが判明し、その説明を訂正するために再び会見を開かなければならなくなりました。
広報の鉄則として、ポジティブな情報は小分けに、ネガティブな情報はできるだけ一度に済ますという考え方があります。ネガティブな会見を何度も開けば、そのたびに新しいニュースが生まれ、映像が流れ、問題が社会に再認識され、より一層イメージ悪化が進んでしまいます。
だからこそ、初動のスピードと同時に「事実確認の精度」が重要になります。SNSなどですでに疑問が指摘されているのであれば、その疑問を十分に確認してから会見に臨む必要があります。「早く会見すること」と「十分に確認して会見すること」のバランスが、今回の大きな教訓ではないでしょうか。
登壇者は多ければいいわけではない
今回の会見では、司会者を含めるとかなり多くの関係者が会場前方にいました。しかし、人数が多ければ説明責任を果たしているように見えるわけではありません。むしろ、質問のたびに担当者へ回答を振っていると、「責任者は詳細を把握していないのではないか」という印象を与える可能性があります。謝罪会見では、トップや責任者ができるだけ広い範囲の質問に答えられる状態をつくることが重要です。
今回であれば、産業労働部側の責任者と総務部長など、3人程度に絞っても十分だったのではないでしょうか。特に総務部長は回答する場面が多かったため、離れた場所ではなく、メインの登壇者と同じ列に座った方がよかったと思います。
謝罪会見で笑いは禁物
総務部長が一部の質問に回答する際、少し笑顔になる場面が数回あったことも気になりました。本人に悪意はなく、緊張から出た表情だった可能性もあります。
しかし、今回のような会見では、映像だけを切り取られた際に「笑いながら説明している」と受け取られるリスクがあります。謝罪会見では、表情もメッセージです。特に不倫相手や関係者について聞かれているような場面では、淡々と無表情に近い状態で回答する方が安全です。
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