Claudeの“見えない透かし”運用開始 Fable 5.1とMythos 5.1が出力する文やコード、画像に付与 日本も対象

 米Anthropicが、AIアシスタント「Claude」が生成した文章や画像に、AI生成物と示す“透かし”を入れる運用を始めた。9月1日(現地時間)に発表した最新モデル「Claude Fable 5.1」と「Claude Mythos 5.1」が対応し、提供開始の時点から出力に透かしが入っている。文章には目に見えない透かしが入り、画像などのファイルにはClaudeが作ったことを示す記録が付く。ファイルの記録を調べられる無料のWebツール「Claude Content Checker」も公開している。

マーキングの方針を説明するサポートページ(出典:Anthropicより、以下同)

 透かしを入れるのは、EUのAI規制法「AI Act」(AI法)に基づくルールにAnthropicが署名したことを受けた措置だ。8月2日に適用が始まったAI法では、同日以降に登場するモデルに対し、提供開始時点から透かしなどの目印を入れる運用に対応するよう定めている。適用範囲はEU域内に限らず、日本を含めClaudeを提供する全ての地域に及ぶ。

 Fable 5.1とMythos 5.1は、Anthropicが9月1日に発表したばかりの最新版で、この義務の対象になる初のモデルに当たる。それより前のモデルには法律上の猶予期間があり、Anthropicは対応を進めているとしている。

対象のモデル・製品・地域などを説明する項目(英語からの翻訳)

対象は日本を含む全世界、応答の品質は変わらず

 透かしなどの目印は、開発者向けのClaude Platform(API)やチャットのClaude、「Claude Code」「Claude Cowork」「Claude Tag」など、Claudeを使うどのサービスの出力にも付く。AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud上の生成AI基盤経由で対応モデルを利用した場合も同様だ。ただし、使う場所や機能によっては、一部の目印が付かない場合もあるという。

 文章の透かしは、Claudeが回答の文章を作る際に、文章そのものへ織り込む。その際、単語の選び方にわずかな偏りを仕込み、専用の鍵で照合したときだけ見つかるパターンを残す方式だ。人の目には見えず、応答の意味や品質、読みやすさは変わらないとしている。文章の一部になっているため、コピー&ペーストで別の場所へ移しても付いてくる。多少手を入れても残る場合がある。

 画像などのファイルには別の仕組みを使う。Claudeが.svgや.png、.jpgといった形式のファイルを作ると、「Claudeが作った、または加工した」ことを示す電子署名付きの記録を付ける。カメラや写真編集ソフトにも使われる業界共通の規格「C2PA」に沿ったもので、この記録があればClaudeを経由したと分かり、後から改ざんされていないかも確かめられる。

テキストの透かしと署名付きメタデータ、2つの手法の説明(英語からの翻訳)

検出手段はまだ限定的、痕跡の有無は決め手にならず

 画像用の透かしが付いたファイルの記録は、無料公開のClaude Content Checkerで誰でも確認できる。一方、文章の透かしを見つける検出APIは試験提供の段階で、対象はEUの法律で確認の義務がある組織に限られる。規制当局や法執行機関、報道機関、ファクトチェック団体、独立研究者、教育機関、EUの市民社会団体などが該当する。法令対応で確認が必要な企業も利用でき、Anthropicは今後、対象を段階的に広げる方針だとしている。

検出手段の提供状況を説明する「クロードの痕跡を検出する」の項目(英語からの翻訳)
ファイルの記録を調べられる「Claude Content Checker」

 実際に記者がFable 5.1で生成した画像をClaude Content Checkerで試したところ、「クロードによって処理された痕跡が見られる」と判定された。

Fable 5.1で実際に生成したテスト画像
テスト画像の判定結果。「クロードによって処理された痕跡が見られる」と表示された(英語からの翻訳)

 ただし文章については、透かしが見つかったからといって、必ずしもClaudeが書いたとは限らない。校正や翻訳、要約、ファイル変換にClaudeを使った場合も、出力に痕跡が付くためだ。Claudeが処理した後で人が書き換えたり、他の文章と混ぜたりするケースもある。

 逆に、痕跡が見つからなくてもAIが関わっていないとも言い切れない。透かし対応前のモデルで生成した場合や、大きく書き直したり翻訳したりした場合、短すぎて判定できない文章の場合などは検出できない。ファイルの場合は、形式の変換や保存のし直し、スクリーンショットの撮影などで記録が消えることもあるという。

痕跡の有無が決め手にならない理由を挙げた「制限事項」(英語からの翻訳)
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