ITmedia NEWS >

Linuxに賭けるシカゴマーカンタイル取引所(2/3 ページ)

» 2004年11月11日 12時24分 公開
[IDG Japan]
IDG

 チームには、UNIX分野に19人のスタッフがおり、このうちの数人は既にLinuxに精通していた。「彼らは自宅の地下室でLinuxをいじっていた。最先端技術に通じたスタッフがいるというのはいいことだった」とパンフィル氏。数人のSolaris管理者が移行に反対したとき、パンフィル氏はLinuxの知識は君たちのスキルを高めるとアドバイスした。「ほかのスキルを身に着けたっていいじゃないか」――と呼び掛けたのだ。

 検証作業でも、幾つかのアプリケーションは、パフォーマンスを犠牲にすることなく4ウェイのSPARCベースのサーバから、2ウェイのIntelベースのコモディティサーバに移行できることが分かった。アプリケーションの中には、Linuxの無駄のないコードによりパフォーマンスが向上するものもあったぐらいだ。

 CMEが1年以上前にLinux導入検討を開始した当時、Sunはこの競合では有利な立場にないと理解していた。「当社には良い対策案がなかった」とSunのオペレーティングプラットフォームグループ副社長、グレン・ワインバーグ氏は認めている。

 このとき、Sunにはx86製品ラインがなく、x86上で「真剣に」動作するSolarisもなかった、とワインバーグ氏は振り返る。だが今日、「これらの状況は変わった」と同氏は言う。Sunは、Solarisがx86ベースのマシンで動くよう「巨額の投資」を行い、Solarisは、一部の金融サービスアプリケーションではLinuxをしのぐ性能を出している、と同氏は主張する。Sunのx86製品ラインには、AMDのOpteronプロセッサやIntelのXeonが採用されている。「私が思うに、この分野でSunは好位置につけている」とワインバーグ氏。

 CMEの目標は、今年中に45%のSolarisシステムをLinuxに切り替えることだ。当初、CMEでは全サーバをSolarisから移行させる計画だったが、Solarisベースのサーバ上で動いているアプリケーションの多くがSolaris専用に書かれたもので、現時点ではこれらのアプリケーションを移行させる予定はない。

 IDCのアナリスト、ダン・クズネツスキー氏は、Solarisのカーネルは、Linuxよりも検証が進んでいて信頼性と拡張性も高いかもしれないと語る。だが、LinuxとLinuxがもたらす自由は、企業にとって大きな魅力になっているとクズネツスキー氏は見ている。Sunが遅れて出してきた回答が、この脅威に反撃できるかどうかは、まだ分からない。「この分野でカムバックし、回復を果たすのは難しいことだ」とクズネツスキー氏は言う。

 だが、CMEはSolarisを締め出すつもりはない。パンフィル氏は今後もSun製品を評価対象とする予定で、同社が年内投入を予定しているOpteronプロセッサ上で動くSolaris 10は、現実的なLinux代替候補となるかもしれない、と語っている。両OSをサポートすることに不安はない。自分のチームに専門家がいることに触れながら、「われわれはこれまで、SolarisとLinuxを並行してサポートできると実証してきた」とパンフィル氏は言う。

 また、コモディティベースのシステムへの移行でCMEは強気になっており、これまで以上に条件の良い取引を求めるようになった。現在CMEにx86サーバを提供しているのはHPだが、パンフィル氏はIBMから購入するのも簡単だろうと語っている。

 CMEがRISCベースのサーバに戻ることはなさそうだ。Intelベースのマシンに投資上の強みがあるからだと最高技術責任者(CTO)のチャーリー・トロクセル氏。「この分野では性能が飛躍的に向上している。業界はコモディティハードウェアに移行しており、われわれもそうするべきだ」とする。

悩みの種はサポート

 CMEがLinuxを利用する上で最大の問題となるのはサポートだ。Sunの場合、レスポンスの速い熟練したサポートチームから、必要に応じてすぐにでもカーネル専門家を派遣してもらえるとパンフィル氏は言う。だが、CMEが取引しているLinuxベンダー、Red Hatの場合、サポートを向上させる必要があるという。パンフィル氏によると、現在のRed Hatは、問題修正の手段として、より多くの製品の購入を勧めているという。「問題があるときは、それを改善する必要がある」と同氏。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.