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» 2004年11月15日 21時54分 UPDATE

「DRAMメーカーは競合ではない」――エルピーダ、上場後の戦略

東証1部に上場したエルピーダメモリの初値は公募価格を上回った。集めた資金はDRAM工場建設にあてる。今後は携帯電話、デジタル家電向けDRAMに注力し、シェアアップを狙う。

[岡田有花,ITmedia]

 エルピーダメモリは11月15日、東京証券取引所市場第1部に上場した。公募価格を3%上回る3610円の初値を付けた後続伸し、終値は3750円となった。IT分野では今年最大規模の大型上場となり、市場から調達した1000億円を超える資金は世界最大級のDRAM工場建設にあてる。

 今後は、価格が下落しにくいという携帯電話やデジタル家電向けDRAMに注力。現在6%前後のDRAM市場世界シェアを、来年には15%に伸ばしたい考えだ。

yu_elpida_01.jpg 「日の丸半導体を復活させたい」と坂本幸雄社長

 「参入障壁の高い“プレミアDRAM”で勝負する」――都内で会見したエルピーダメモリの坂本幸雄社長は、今後の戦略を語った。

 プレミアDRAMとは、携帯電話やデジタル家電、サーバ向けの高付加価値品を指す。今後成長する分野な上、価格が低下しにくく、新規参入も難しいため、安定した収益が見込めるという。

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 「携帯・家電向けDRAM生産には高度な技術が必要。機械さえ買えば生産できるPC向け汎用DRAMと違い、競争が激化しにくい。サーバ向けは、メーカーがDRAM提供メーカーと長期的・独占的な契約を結ぶため、新規参入が難しい」(坂本社長)。

 坂本社長によると、同社の携帯電話向けDRAM世界シェアは約6割。デジタル家電向けは4−5割を確保しているという。また、同社の2004年度中間期(4月−9月)の売上高のうち59%がプレミアDRAM。今後はこの割合を高め、収益力をアップさせる。

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「DRAMメーカーは競合ではない」

 「総合電器メーカーのDRAM事業は限界が来ている」と坂本社長は言う。1980年代に圧倒的な力を持っていた国内家電メーカーのDRAM事業は、韓国などアジアのメーカーに押されて次々に失速した。次は、アジアの家電メーカーのDRAM事業が失速する番だという。

 家電メーカーのDRAMは、競合する家電メーカーに納入してもらえないから、というのがその理由だ。エルピーダのような専業メーカーなら、どんなメーカーにも納入できるのが強みになる。「DRAMメーカーはもはや競合ではない」(坂本社長)。

 ただ同社も、NECや日立製作所など家電メーカーのDRAM部門を統合して誕生した企業。NECと日立がそれぞれ33.9%の株式を保有しているが、「NECも日立も、一投資家でしかない。両社ともDRAM事業にはもうタッチしたくないというのが本音で、経営に口出しされることもない」(坂本社長)と、2社が足かせになることはないことを強調した。

来年はシェア15%を

 坂本社長は2002年11月の就任以来、14カ月で単月黒字化を果たし、23カ月で株式を上場した。就任当初の3つの公約――(1)12カ月以内に単月黒字化、(2)24カ月以内に株式上場承認、(3)3年以内に世界のDRAMメーカートップ3に入る――のうち、2つはほぼ予定通りに達成したことになる。

 残る一つの実現も見つつあるという。「世界シェアは今年第2四半期で6%。四半期ベースで2割ずつ増えている。来年はシェア15%にチャレンジしたい」(坂本社長)。

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