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詐欺と格闘するネットオークション

» 2005年02月22日 18時50分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ネットオークション市場の薄暗い街角には、買い手をだまそうとする詐欺師が潜んでいる。オークション運営サイトは、そうした絶えざる詐欺の脅威に対処していかなければならない。非常に人気の高い、大規模な電子商取引の手段となったネットオークションだが、一部には、詐欺の脅威によって買い手の参加意欲と売り上げが深刻な打撃を受けると考えている人もいる。

 eBayの出品者でつくる団体が今年1月、詐欺によってオークション市場の完全性が脅かされていると主張、eBayに対し、具体的な対策を講じるよう求めた。「当組織のメンバーはこれを、eBay上での自分たちのビジネスと力量に影響を及ぼす最大の問題と感じている」とProfessional eBay Sellers Alliance(PESA)のエグゼクティブディレクター、ジョナサン・ガリス氏。PESAにはおよそ600のeBay大口出品者が参加しており、メンバーによるeBayでの商品取引の規模は、全体で7000万件以上、金額にして年間10億ドルに上る。

 一方、米政府機関もネットオークション詐欺を深刻な問題ととらえている。米連邦取引委員会(FTC)は2月1日、全米および州レベルの詐欺となりすましの状況をまとめた報告書の2004年版を発表、消費者から寄せられた苦情のうち、39%のなりすましに次いで2番目に多かったのがネットオークション詐欺で16%(約10万件)を占めたと報告した。「インターネット絡みの苦情」に絞ると、ネットオークション詐欺が48%でトップとなっている。

 ネットオークション詐欺は、さまざまな形態を取る。最も一般的なのは、買い手が代金を振り込んでも商品が届かないか、届いても出品者が告知していた商品の説明どおりでないというもの。逆に、買い手が商品の代金を支払わなかったり、商品が届かないとうそをついて出品者をだまそうとする場合もある。「ほとんどの苦情は基本的に、商談が成立して代金を振り込んでも商品が届かないというものだ」とFTCのスタッフ弁護士、デボラ・マティーズ氏は言う。

 eBayは、ずば抜けた規模のネットオークション市場を築いているが、同社の推定では、詐欺と判明するケースはeBayでの商取引全体の1万分の1ほどにすぎないという。だが、たとえ詐欺がまれであっても、事件が広く報じられれば、潜在的な買い手のネットオークション参加意欲をそぐことになるとPESAは主張している。

 PESAのガリス氏は、eBayの2004年の出品件数、連結売上高、総取引量などの伸びが前年比で鈍化した一因は、詐欺問題にあるとの確信を持っている。こうした成長鈍化と2004年10〜12月期の業績が予想を下回ったことから、同決算報告の後、eBay株は下落した。決算報告の翌日、eBay株は前日の103.05ドルから83.33ドルに急落、以来90ドルに届いていない。

 「われわれは、eBayオークション市場を買い手にとってもっと安全な環境にするための改善の余地があると考えている」とガリス氏は言う。同氏はeBayに靴やアクセサリーを出品しているGotham City OnlineのCEO。具体的には、PESAはeBayに、非常に高額の商品や大量の商品を売ろうとしている新規の出品者の審査をもっと厳しくしてほしいと考えている。またPESAは、買い手についても、身元を十分に審査し、市場で良好な取引記録を作るまでは制限事項を設けたらどうかと提案している。

 しかし、eBay広報担当のハニ・ダージー氏によれば、同社は不正行為を行っていない出品者に規制を加えることは考えていない。「コミュニティーのすべてのメンバーの意見を尊重するが、不正行為が行われる前には、いかなる審査も行うつもりはない。PESAのメンバーも皆、かつては新規出品者だった。まだ何も出品していないころに出品者を厳しく制限する審査を実行していたら、彼らも影響を受けていただろう」(ダージー氏)

 同氏によると、eBayはオークション参加者に正しい行動を学んでもらうためのツールや情報を数多く提供している。例えば、eBayではすべての売り手と買い手が取引相手から評価を受けるため、全員がランク付けされており、参加者に対する評価を誰でも読むことができる。また、もし問題があれば、eBayのWebサイトにはセキュリティセンターがあるので、会員はここに苦情を申し立て、eBayに仲裁を頼むことができる。

 月刊誌Consumer Reportsのオンライン調査部門Consumer Reports WebWatchのディレクター、ボー・ブレンドラー氏は、eBayのような高名なネットオークションサイトは、詐欺の予防と撃退のために非常に努力しているが、全体的に「買い手注意」が大原則のオークション環境の実態にあっては、同社にできることも限られていると指摘する。「ネットオークションは現実世界のオークションと同様、詐欺にとって格好の場だ」と同氏。

 買い手が被害に遭わないために従うべき実践項目には次のようなものがある。

  • 支払いは、必ずクレジットカードかeBayのPayPalサービスを使って行う。現金や小切手、郵便為替、銀行送金などは避ける。
  • 高額商品を買う場合は、支払いの受領を確認できるエスクロサービスを利用する。その場合、商品がいい状態で届いたことを確認するまでは出品者への支払いを止めておく。
  • エスクロサービスを使うなら、業者が信用できるかどうか確認する。
  • 取引相手の出品者について、ほかの人が書いたフィードバックをチェックする。フィードバック機能は、eBayなどのサイトで一般的となっている機能。
  • 商品の説明が詳しく、はっきりした写真の出品を探す。
  • あまりにも話がうますぎる場合は近づかない。

 しかし、詐欺が増え続ければいつしか、ネットオークション市場に愛想を尽かすユーザーの数がクリティカルマスに達するだろうと電子商取引企業Overstock.comの会長兼社長、パトリック・ビルネ氏は警告する。従ってネットオークションサイトには、極力警戒を怠らず、積極的な取り組みが求められていると同氏。Overstock.comが昨年9月に立ち上げたネットオークションのOverstock.com Auctionsは順調に伸びているという。「詐欺は雑草のようなものだ。市場に茂りすぎると、信じていい相手を見つけにくくなり、すべてが大きく揺らぎ始める」(ビルネ氏)

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