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HP新CEOを待ちかまえる大仕事eWEEK Opinion

» 2005年04月08日 15時46分 公開
[Eric Lundquist,eWEEK]
eWEEK

 マーク・ハード氏がHPの新CEO(最高経営責任者)に任命されたと聞いたときに一番多かった反応は、肩をすくめて「誰それ?」と問うものだった。

 ハード氏を選任するにあたって、HP取締役は派手なスーツよりも中身を、壮大なデジタルの融合よりも、データベースやエンタープライズインフラの話題に精通した人物を追求した。

 カーリー・フィオリーナ氏の突然の追放からわずか7週間で、HP取締役は、1884年にキャッシュレジスターの製造から始まった会社に25年務めたベテランが、さまざまな分野に広がった800億ドルの巨大IT企業を監督するにふさわしい人物だと決定した。

 ハード氏はNCRからHPに移ることで、自身のCEO在職中に強力な実績を残しはしたが、2004年の売上が59億ドルと、これから率いる企業のどの部門よりも小さな企業から「出世」することになる。

 少なくとも最初は、48歳のハード氏はCEO選考プロセスで漏れたHP幹部たち――新しいボスが経営していた企業よりも大きな事業を動かしている――にかなり頼らなくてはならないだろう。ビョメシュ・ジョシ氏が統括する収益性の高いHPのイメージング・プリンティング部門は、PC事業との統合前でも、既に240億ドル事業になっていた。

 保守的な選択肢を選んだHP取締役の決定は、今のハイテク情勢に合っている。米最高裁がファイル共有をめぐる問題を審理し、家電メーカーがゲーム機やMP3プレーヤーを値下げしようと躍起になる中で、投資家は顧客の技術インフラ統合に強い保守的な技術ベンダーに目を向けてきた。

 IBMがAscentialを、Oracleが(SAPとの買収合戦に競り勝って)Retekを買収し、最近SunGuardが113億ドルでレバレッジド・バイアウト(LOB)されたことは、社内システムの統合という多少つまらなくても収益性の高いビジネスのスキルにより、ITベンダーが高く評価されていることを示す最新の例にすぎない。

 NCR、特にTeradata部門は、統合プロジェクトにおいてこの手の顧客と深い関係がある。HPはこれまで自社のアダプティブ・エンタープライズ構想を明確に説明できなかったが、その一方でNCRはこの略語だらけの業界に率直な中西部的なやり方を持ち込んだ。

 アダプティブな企業になりたいなら、HPに行くといい。キャッシュレジスターを在庫情報と連係させたいのなら、NCRだ。少額決済の話がしたいならHPに、雑誌陳列棚のそばにATM(現金自動預払機)を設置したいのならNCRに行くべきだ。

 ハード氏の行く手には大仕事が待っている。顧客は不確実性を嫌い、競争相手はライバルの不確実性を好む。Dell、IBM Global Services、EMCはHPの失敗に乗じる体勢を整えている。

 足下で急激に変わっていく業界で、ミスをせずに迅速に動けるかどうかはハード氏次第だろう。

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