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アナリストの言うことは信用できるか?(1/2 ページ)

» 2005年04月12日 23時44分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 業界記事でアナリストが提供する情報を読者はどう解釈すればいいのだろうか。この問題について、アナリストたちから直接聞いたアドバイスを紹介したい。

 われわれが行う最も重要な判断は(しかもわれわれは毎日何百回あるいは何千回もその判断をしているのだ)、だれを、あるいは何を信用すればいいのかという判断だ。

 「だれを、あるいは何を信用すべきだろうか」――だれかが書いた調査報告を読むとき、あるいは業界アナリストの意見を聞くとき、筆者はこのように自問することにしている。読者も情報を受け入れる際には同じ質問をしていることだろう。

 提示された情報は「誠実な」内容なのだろうか、それとも特定のベンダーの利益になるように脚色されているのだろうか。もっとあからさまに言えば、だれかがわれわれから金をせしめるためにウソをついているのではないだろうか、ということだ。

 世の中全体を見れば、たぶんそういうこともあるだろう。だが筆者はコンピュータ業界がほかの業界よりも特にひどいとは思わない。むしろほかの業界と比べると、かなりましかもしれない。

 例えば、頻繁に発言が引用されるアナリストは信用できるのだろうか。また、ベンダーがスポンサーとなって実施した調査に結果は信用できるのだろうか、という疑問について考えてみよう。

 この2つの疑問に対する答えはいずれも「イエス」だ。ただし条件付きのイエスである。

 以下では、アナリストの意見や彼らの報告を情報源として利用する場合の利点と制約の両方について説明したい。もしあなたがコンピュータ業界の記事を日常的に読んでいる読者であれば、これは重要な情報であるはずだ。あなたが読む記事の多くには、業界アナリストの発言が引用されたり、彼らの考え方が何らかの形で反映されたりしているからだ。

 幸いなことに、名の通った調査会社はかなり信頼に値する。あなたがよく耳にする企業(および報道機関)はずっと以前から存在し、業界の信頼を獲得しているのだ。そして彼らはそれを維持するのに努力している。だからといって彼らが常に正しいとは限らないが、彼らが堕落していないことは確かだ。

 この問題を理解するために、筆者はいつも使っている手段を利用した。つまり、以前から筆者が信頼を置いている何人かの友人のアナリストに電話をかけ、アナリストが提供する情報を読者が正しく判断するにはどうすればよいか意見を求めたのだ。

 筆者が彼らから聞いた話を幾つか以下に紹介する。

 アナリストは予言者ではない: アナリストは特定の技術あるいは市場セグメントのウォッチャーとしてプロである。場合によっては、彼らは自分の専門分野のことはだれよりも(その分野の企業の幹部よりも)よく知っている。彼らの多くは企業と守秘義務契約を結んでいるため、100%の正確さで傾向を“予測”することができるのだ。

 しかし彼らは全知全能の予言者ではない。また、アナリストたちは自分の専門分野が世界の中心であると考え、その考えに基づいて予測を行うという罠に陥りがちであるということを忘れてはならない。

 特定の製品やベンダーだけをほめるアナリストには要注意: 評判の高いアナリストは、しっかりとした調査に基づく根拠もなしに特定の製品やベンダーを推薦したりはしないものだ。有名なアナリストが所属する調査会社は、主要なすべてのベンダーをクライアントとしているのであり、1社のクライアント以外のすべてのクライアントを怒らせることは、彼らにとって何の得にもならないのだ。

 ベンダーが調査費用を払っているからといって、そのベンダーの勝手な予測とは限らない: 筆者の友人で10社のベンダーがスポンサーとなっている調査を担当している人がいる。あるベンダーが「もし自分たちに不利な結果となった質問があったら、その質問を調査結果から削除することは可能か」と質問してきたという。友人はそのベンダーに、「お金は返すので、お引き取りいただいて結構」と言ったそうだ。

 だがこれは大手調査会社での話だ。私の友人のアナリストたちは、小さな調査会社は信用できないとまでは言わないが、十分に注意する必要がある。

 調査業界は非常に競争が激しく、新興の調査会社や、業界再編で苦境に立たされている調査会社を利用しようと考えるベンダーもあるはずだ。また小さな会社の中には、冷徹な目を持った調査会社ではなく、むしろベンダーの旗振り役になろうとする傾向も見受けられる。特にベンダーから資金援助を受けている調査会社にその傾向が強い。

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