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Apple、エンタープライズ市場で健闘

» 2005年09月29日 17時22分 公開
[IDG Japan]
IDG

 市場調査会社の米IDCが最近の報告書で、企業用のストレージおよびサーバの市場におけるAppleの取り組みを高く評価している。AppleはiPodとMacintosh製品ラインで最もよく知られるが、IDCのアナリストによると、エンタープライズ市場におけるAppleの動きに対しても競合他社が関心を示し始めているという。

 「Appleは2〜3の重要な垂直市場、とりわけデジタルメディアのような、Appleなしではどうにもならない市場にフォーカスしている」とIDCのアナリスト、ケリー・クィン氏はMacCentralに語る。「Appleはこの市場に実にうまく浸透している。科学技術市場にも、高性能コンピューティングを必要とするため、デジタルメディア市場と重なる部分がある」

 デジタルメディアのような旧来市場にフォーカスしてきたことはApple自身も認めるところだが、同社はストレージシステムのXserve RAIDの投入によって、一連の新市場にも照準することとなった。

 Appleのプロダクトマネジメントおよびサーバ・ハードウェア担当ディレクター、アレックス・グロスマン氏はこう語る。「こうした重要な垂直市場でAppleほど浸透した会社はない。これらの市場はAppleにとって非常に重要だが、これと同じくらい重要なのが非Mac分野だ」

 そうした非Mac市場には、エンド・ツー・エンドのApple環境を持たない企業顧客、およびそのほかの市場が含まれる。グロスマン氏は、Xserve RAIDのうちおよそ40%が、非Mac環境もしくはMacとそのほかのシステムが混在した環境向けに出荷されていると語る。

 新技術の導入もまた、Appleのエンタープライズ製品の採用拡大の一助となっている。グロスマン氏は企業が現状の設備をアップグレードする際、Appleに目を向ける例として、HDTV分野の伸びを挙げた。

 「プロプライエタリで囲い込み型の高価な新製品と、オープンで高速で安い新製品のどっちを買いたいだろう? そこに当社のチャンスがある」とグロスマン氏。

 IDCは、特定の垂直市場に注力するAppleの戦略も評価している。アナリストは、Appleが既に地歩を固めた旧来市場にも、まだ成長の余地がかなりあるとみている。

 「Appleは、ターゲットの垂直市場を注意深く選ぼうとしている。この分野に参入して2年半の企業にとって、特定の垂直市場にフォーカスするのはベストなアプローチだ。率直に言って、この市場にはまだAppleにとっての多くのチャンスがある」とIDCのアナリスト、ナターリヤ・エシコワ氏。

 2003年2月の発表以来、AppleはXserve RAIDだけで76Pバイト(ペタバイト)のストレージを出荷している。Xserve 1UラックマウントサーバとXserve RAIDストレージ製品の人気の高まりは、エンタープライズ分野の競合他社の関心を引き始めている。IDCによると、同社にAppleについて質問する企業が増えてきたという。

 「そう、他社が気にし始めており、それが(Appleが)自社の動きについて極力口を閉ざそうとしている理由の1つでもある。他社は、Appleがライバルなのかパートナーなのかを判断するために、同社についてのあらゆる情報を欲しがっている」(エシコワ氏)

 Appleは、先ごろIntelプロセッサへの移行を発表した際、サーバ製品については特に触れなかったが、IDCではこの移行を、成長しつつある同社のエンタープライズ事業にとってプラスの動きと見なしている。

 「これがマイナスに働くとはまったく思わない。実際、これはx86サーバ市場でAppleのメリットとなる。Appleとしては非常に目先の利いた動きに思える」とIDCのクィン氏は語っている。

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