ITmedia NEWS >
ニュース
» 2005年11月02日 21時03分 UPDATE

DDR2が今年不振だった理由とは

今年主流になるとみなされていたDDR2は、ゲーム機や携帯には搭載されたものの、PCでは普及しなかった。その理由とは?(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 今年は新しい高速DRAM技術が主流に躍り出ると考えられていた。その技術はデータ転送速度の向上と省電力という特徴を併せ持っている。だがその技術、つまりDDR2は成功を収めなかった。デスクトップPCユーザーに受け入れられなかったことが主因だ。

 DDR2は、主流になったと言えるほどの、つまり、最も広く使われるDRAMチップになったと言えるほどの数字を残さなかったが、だからといって、今後も主流にならないとは限らない。DDR2は来年こそ主流のチップになると見込まれている。だが、今年の市場でその受け入れが進まなかったことは、DRAM技術の向上のペースを鈍化させることになりそうだ。

 次世代のDDR3は、1品種がハイエンドグラフィックスチップとセットで既にゲーム機に搭載されているものの、PCへの搭載はおそらく2007年以降になるだろうと、メモリチップの電子商取引市場を運営するDRAMeXchange Technologyのマネジャーを務めるジョイス・ヤン氏は語る。

 ユーザーは今年、DDR2の搭載によるデスクトップ性能の向上にまったく目が向かなかったのだろう。息の長い製品だが現在のDRAM市場で最も優勢なDDR-400(400MHzの256MビットDDRチップ)は、2005年も世界DRAM市場でトップシェアを維持している。これはユーザーにとって幸いなことだろう。DDR2による若干の性能アップを早期に享受するチャンスを逃したということにすぎず、しかも一部のアナリストによれば、DDR2の価格は性能にまったく見合わないほど高いからだ。

 DDR2 DRAMのうち今年デスクトップPC向け市場で低迷している品種の性能は、現在主流のDDR-400チップを大幅には上回っていない。DDR2は従来製品と比べて、価格の高さに見合うだけの高い性能を提供していないと、SinoPac Securitiesの半導体業界アナリスト、ジェームズ・ファン氏は語る。

 「周波数が大きなポイントだ」とファン氏。「400MHzや533MHzの場合、デスクトップPC上のDDR2の性能はDDR-400よりも格段に優れているわけではない。667MHzなら、DDR2はユーザーにとってもっと魅力的だろう」

 ノートPC向け市場では、DDR2はトップシェアを獲得した。省電力機能がバッテリー寿命を延長させるからだ。だが、デスクトップPCユーザーにとって消費電力効率は、価格の高さを納得できるほど重要ではない、とファン氏は語る。

 DDR2が2005年に主流になれなかったのは、DRAMメーカーにも原因がある。安価な256Mビット品ではなく533MHzの512MビットDDR2チップしかユーザーに提供しなかったことだ。DDR2はハイエンドデスクトップPCには採用されたが、デスクトップPCでは販売台数の大半をローエンド製品が占めており、ローエンドPCでは性能よりも価格が重視される傾向があると、ABN AMRO Asiaの業界アナリスト、クリスタル・リー氏は語る。

 DRAMチップの市場競争では、デスクトップPCが主戦場だ。DDR2は既にサーバやノートPC向けでは首位に立っているが、まだデスクトップPCユーザーを取り込んでいないため、業界で主流のチップになるのは2006年第2四半期以降かもしれないと、台湾のDRAMチップメーカー、Powerchip Semiconductorの副社長エリック・タン氏は語る。

 Powerchip SemiconductorはDDR2の増産計画を見送っているが、その主な理由は、デスクトップPCユーザーへの普及が遅いために価格が下がっていることだ。

 DRAMeXchangeによると、DDR-400のPCメーカー向け価格は年初からこれまでに半値近くまで下落し、10月後半は1個当たり2.39ドルだった。この間に533MHzのDDR2はほぼ61%値下がりして4.53ドルとなった。

 DRAMメーカーにとっては、DDR-400の方が利益率が高い。現在販売しているDDR2は搭載チップの容量が512Mビットだが、DDR-400は256Mビットだからだ(DRAMメーカーはコストをビット当たりで計算するため、DDR2の256Mビット品の価格は、512Mビット品の半額、つまり1個当たり2.26ドル程度となるはずだが、これはDDR-400の現行価格よりも低い)。

 台湾のメモリチップメーカーのNanya TechnologyとProMOS Technologiesの担当者は、DDR2の不振の要因として対応チップセットの不足も挙げている。

 「DDR2はいまだにチップセット不足のあおりを受けている。この状況は2006年第1四半期まで緩和されないだろう」とProMOSの広報担当者ベン・ツェン氏は語る。

 IntelはDDRとDDR2の両方に対応したチップセットを販売している。だが、多くのPCベンダーは同社のチップセットを安価なDDR-400メモリと組み合わせて利用している。また、AMDはまだデスクトップPC用プロセッサでDDR2をサポートしていない。

 IntelがDDR2のみに対応したチップセットを投入し、AMDがDDR2のサポートに動けば、DDR2はメモリの主流品になるだろうとDRAMeXchangeのヤン氏は語る。同氏は、主流品が交代するのは早くても2006年4月ごろだろうと見ている。

 またヤン氏は、DRAM市場ではDDR2の普及とともに、より周波数の高い製品への移行が急速に進み、2006年の年末近くには高速な800MHzの製品が主流になるだろうと予測している。

 Samsung Electronicsの幹部によると、DDRやDDR2 DRAMを上手に買いたいと考えているユーザーにとっては、来年初めが狙い目になりそうだ。過剰供給でチップ価格が一段と下落すると見られるからだ。

 同社副社長のイルン・キム氏は今月、投資家に対し、DRAMビジネスは12月から来年初めにかけて厳しい時期を迎えるだろうと述べた。Samsungにそれが見通せるのは当然だろう。同社はこの数年来世界最大のDRAMメーカーであり、DRAMの価格変動サイクルを熟知しているからだ。

 「2006年前半の見通しはDDR2をはじめとして芳しくない」とキム氏。DDR2は今後数カ月間、ゲーム機向けやさらには3G携帯電話向けでもシェアを伸ばすだろうが、PC向けではそうはいかないだろうと同氏は話している。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.