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ルネサス、国内市場低迷で上期は赤字に

» 2005年11月08日 18時02分 公開
[ITmedia]

 ルネサステクノロジの2005年度上半期(4〜9月)の業績は、純損益が20億円の赤字だった。国内市場の低迷や価格下落の打撃を受けて減収となり、特に価格の下落が急速に進むフラッシュメモリが減益要因となった。ただ上期で底打ちしたとの認識で、下期は緩やかな回復を見込んでいる。

 売上高は4393億円(2004年度下半期比496億円減)、営業利益は5億円(同141億円減)。棚卸資産の評価損や、北米の設計拠点の整理で固定資産の処分損などを計上し、最終損益は赤字となった。

 上期の低調は、事業の60%強を占める国内需要の低迷が大きい。特に主力のマイコンは需要減に加え、ローエンド品へのシフトや単価下落も進んだ。前年度は稼ぎ頭だった液晶ドライバも、ハイエンド携帯電話向け需要減が響き、「赤字転落を逃れ、黒字は確保した」(伊藤達社長兼CEO)という程度に落ち込んだ。同社独自の「AG-AND」型フラッシュメモリは4Gビット品の量産遅れでつまづき、赤字化の大きな要因となった。

 半導体市場は上期をボトムとして下期から2006年度にかけて回復基調にあるとの見通し。だが価格下落スピードが想定を超えており、当初はフラッシュメモリの下落率を30〜40%と見ていたが、実際には50%近いという。「想定の倍くらいのコストプレッシャーがかかっている。コスト削減を市場の動きにキャッチアップさせていかないと対応できない」(伊藤社長)

 このため下期は各製品の下落率を見直し、固定費削減やチップサイズのシュリンクなど原価削減を進め、コスト競争力の強化を図っていく。国内依存の脱却を急ぐほか、マイコンでは現在世界トップのシェア22%を30%に引き上げる目標を掲げるほか、AG-ANDメモリ量産ではアウトソーシングを活用するなどの改善策を進める。

 下期の売上高予想は4500億円、営業利益は40億円。構造改革や年金一元化などで費用計上を予定し、このため最終損益は上期から赤字幅が広がる見通しだ。

「各社より進んでいる」SoCのプラットフォーム化

 マイコンや液晶ドライバなどの汎用品事業とともに注力するのがシステムソリューション事業。その核となるのが10月下旬に発表した「EXREAL Platform」だ。(1)自動車情報システム、(2)携帯電話、(3)テレビ、(4)デジタルAV──の4分野向けに共通のプラットフォームを用意し、システムオンチップ(SoC)開発期間の短縮や過去のソフト資産の流用などが可能になる。

photo EXREALの概要

 半導体システムのプラットフォーム化は、NECエレクトロニクスの「platformOViA」や、松下電器産業の「Uniphier」も同様に進めている。規模の増大が深刻化しているソフト開発の効率化など、各社が掲げるメリットはほぼ同じだ。

 伊藤社長はEXREALについて「各社の問題意識と、目指すところも同じ」とした上で、「だが柔軟性やスケーラビリティなどでは各社より進んだものを提供できているという自負がある」と話す。特に、異なるコアと異なるOSを混在できる「ヘテロジニアス」なマルチコア対応により、セットメーカー側の需要に応えた柔軟なインテグレートが可能だとした。

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